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まだリリースされていない曲をタイトルだけであれこれ考える

まだ全貌に触れていない曲について何かを書くというのも、なかなか奇妙なことをしようとしているなあと思う。

10月の頭、タイアップするアニメ『ダンジョン飯』のティーザーとともに、BUMP OF CHICKENの新曲の一部分とタイトルが公開された。あとはバンプのレギュラーラジオで本人たちが少し言及したくらいしか、現時点でリスナーのもとにある情報はない。

リリース日はいつになるのか、シングルとして出るのか、はたまたアルバムの中の一曲として出るのか、一切明かされていない。新曲を待ちわびるファンに出来るのは、ティーザーの中で流れる1分足らずの音源を、何度も何度も巻き戻して聴くことくらい。

動画の再生回数は70万回を超え、シークバー上に表示される「リプレイ回数が最も多い部分」は、新曲が流れ始める部分になっている。1分足らずを何度も繰り返し聴いて待ちわびている人が私だけではない何よりの証拠だ。

待ちわびる思いが余りに余ってタイトルとティーザーをじっと眺めていたら、「はっ!!うわあああああ!これは………………!!」と思うことがあった。ちゃんと曲を聴いて、答え合わせをしてから書こうと思っていたのだけれど、もう待てないよ~と思ってしまったので、書いてしまおうと思う。

新曲の内容には触れず、タイトルにだけ着目して、過去の作品と照らし合わせながら深読みしていく。みんな、リリースされたら一緒に答え合わせしようぜ。

「Sleep Walking Orchestra」というタイトル。sleep walkingは「sleepwalking」くっつけて書くと「夢遊病、睡眠時遊行症」という意味になる。

「Sleep Walking」と離れたつづりにしてあるので、ここでは「眠ったまま歩く」と訳すのがいいのかなという感じ。

「Orchestra」はあのオーケストラ。オーケストラという言葉は、バンプでは「スノースマイル」と「Flare」の歌詞に出てくる。

つまり日本語にすると「夢遊病のオーケストラ」「眠りながら歩くオーケストラ」みたいな意味になる。「クロノスタシス」の「この街は居場所を隠している 仲間外れ達の行列」という歌詞のイメージにも繋がりそうな言葉。

他にも「Hello, world!」の「もう駄目って思ってから わりと何だかやれている 死にきらないくらいに丈夫 何かちょっと恥ずかしい」とか、ファイターの「体だけが自動で働いて」とか、「(please) forgive」の「最近は別に元気じゃない」とか。

自分に対する「もはや生きている実感もないが、体は確実に生きている」という目線を切り口に置いた曲は多い。今挙げた歌詞は全部、1番のサビ前までに出てきている。曲の結末ではなく、スタート地点とか切り口として描いていると位置づけることができると思う。

音楽に「結末」とか「切り口」とかいう考え方を持ち込むのもどうかと思うのだけれども、バンプの1つ1つの曲にはやっぱりストーリーがあると思う。解釈の1つとして、そう捉えて話を進めることを許して欲しいなと思う。

それで、自分に対する「もはや生きている実感もないが、体は確実に生きている」という目線は、いつ頃からバンプの作品に出てくるんだろう。もう勘の良い方はお気づきかも知れない。2000年にリリースされた2ndアルバムのタイトルが『THE LIVING DEAD』じゃないか、と。

『THE LIVING DEAD』=「生ける屍」から、「Sleep Walking Orchestra」=「眠ったまま歩く楽団」へ。「誇り高き個」というような『THE~』から、「Orchestra」という集合名詞になった。(集合名詞とは→https://eikaiwa.dmm.com/blog/learning-english/english-usage/collective-noun/)

『THE LIVING DEAD』と「Sleep Walking Orchestra」は、似ているようで全く違う。眠ることは生きるために不可欠なことであり、歩くためには生きていなければいけない。「Orchestra」は、誰かと一緒に音楽を奏でるために集まった人たちのことである。

『THE LIVING DEAD』ほどの猛々しさは無いように見えるかもしれない。でも、もっと動的で、ゆるやかだけれど決して揺るがずに、生きようとしている自分自身を思い出させてくれる。そしてなにより、一人じゃない。

そんなことを思いながらバンプの曲をあれこれと聴いていたら「バンプは本当に『THE LIVING DEAD』から「Sleep Walking Orchestra」への道のりを歩いてきているんだよなあ!」と思った。

なんなら藤くんが最初に日本語詞で書いた「ガラスのブルース」からすでに「昨日よりマシな メシが食えたなら 今日はいい日だったと 空を見上げて笑いとばしてやる!!」という歌詞があって、その裏側には「生きることについての快楽以外の感情」が存在している。その感情を抱えたまま、生きることと真摯に向き合う曲だ。

そしてバンプの曲は全部そう。「全曲ランダム再生して最初に来たやつ」とかで選んで聴いてもらっても、バンプが歩いてきたそんな道のりの結晶を、絶対に見つけられると思う。絶対に。

バンプが今まで正直に、誠実に歌い続けてきたから『THE LIVING DEAD』というタイトルを冠したアルバムも、「Sleep Walking Orchestra」というタイトルの曲も、生まれてきた。その道のりを思うだけで勇気づけられる人間が、現にここに一人いる。私は、もうすぐ結成28周年を迎える彼らの道のりを心から賞賛したいし、これからも追いかけていたい。

というか、なにはともあれ「Sleep Walking Orchestra」早くちゃんと聴きたい!

とまあ、こちらとしては、こんな感じで、タイトルひとつとってもあれこれ思いを馳せて楽しんでいられるので、バンプさん、無理せず焦らず、活動を続けていってくださいね。来年のツアーも楽しみにしています。


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