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「まだ感じられる」と叫びたくなる〈11月毎日投稿〉

2016年結成のアメリカのバンド、half・alive。来日してくれることを個人的に最も熱望しているバンドです。ボーカルのジョシュ・タイラー、ドラムのブレット・クレイマー、ベースのJ・タイラー・ジョンソンの3人組。

バンドスタイルでありつつ、ボーカルのジョシュによるダンスパフォーマンスが特徴。MVの演出や監督も担当し、パントマイム的な表現を織り交ぜたダンスが、曲をより魅力的に見せています。

今年リリースされた「Subliminal」では、ギターボーカルを担当する部分のすぐあと、ジョシュがダンスパフォーマンスに移ります。そのため、ライブの曲中にギターをステージの真ん中から放り投げて、ステージ袖にいるスタッフがキャッチするのですが、これが1つの見どころになっています。なるほど確かにバックダンサーが踊っている間をすり抜けてギターを取りに行くのは難しいのか。

「ギターも弾きたいしダンスもしたい」ってなったらギターを放り投げてでもパフォーマンスを完成させる。アーティストとしてのそういう姿勢も含めて私は好きです。

ひんやりとしたドラムとシンセの、けだるい雰囲気とぴちっとしたビートで始まる「still feel.」。はかなげな印象のボーカルに少しずつ力がこもっていく、ドラマティックな展開に心をぎゅっと掴まれます。

このバンドを語るにあたって、ダンスパフォーマンスを外すことはできないので、ぜひともMVを見てみて欲しいなと思います。ライブではダンサーを入れてのパフォーマンスですが、MVではメンバー3人によるダンスです。

メンバー3人が踊る印象的なダンス。歌詞の内容を視覚的に表現しつつ、メロディーやリズム、温度感の変化など曲の特徴もしっかりとらえ、曲の魅力がより伝わってきます。

サビの歌詞はこんな感じ(私の下手な日本語訳は大目に見て下さい)。

I still feel alive
(まだ生きていることを感じる)
When it is hopeless, I start to notice
(どうしようもなくなってから気付き始めた)
That I still feel alive
(まだ生きていると)
Falling forward, back into orbit, yeah
(前へ落ちて 軌道に戻っていく)

「still feel.」half・alive

歌詞と合わせてダンスを見たときのこの、溢れ出る「I still feel alive」感……「back into orbit」感……これがたまらんのですよ。2番のサビ(1分51秒あたりから)の「I start to notice」で目の形を作ってまばたきする動きを表現しているのも面白いです。

実をいうと、私はもともと洋楽が得意ではなかったりします。英語がそんなに得意ではないし、日本から一度も出たことがない。そう思うと私は英詞の曲を聴いて、なんとなく疎外感を感じてしまいます。

例えば「have coffee」と「コーヒーを飲む」が、全く同じ意味や感情を表現しているとは言えないと思うのです。英語を日本語に訳して理解したとしても、歌詞の意味を完全に理解できている自信が持てず、曲を好きだと言う自信も持てなくなってしまう感じです。

だけどhalf・aliveは、表現したい感情やエネルギーをダンスパフォーマンスを通して伝えてくれています。歌詞や曲を通して私が感じていることが間違っていないと、ダンスによって肯定してもらえる感じがします。

もっと主体的に音楽が聴けたら楽なのになと思う。でも、アーティストへのリスペクトを感じるたびに「どうしてこの人はこの音を奏でたのだろう」「どうしてこの人はこんなことまで出来るんだろう」と思う。

そうやって問いを立てて、音楽を通して誰かと対話することで、私は生きている心地を思い出しているのかもしれません。

コンビニでクエン酸の飲み物を買って飲みます