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お前が環境を作れ - 青黒 in スタンダードpauper/灯争大戦

よく来たな。hosokaだ。おれは毎日すごい量のデッキリストを書いているが、誰にも読ませるつもりはない。

灯争大戦/War of Sparkが始まり、あらゆる環境が激変しようとしていると思ったら、モダンホライゾンまで来た。マジック・ザ・ギャザリングは25周年にして、Arenaとか、渡辺雄也/Yuya Watanabeの留置/Detainとか、最高にスイングしている。

だが、お前の問題はコモン構築戦/Pauperだ。3勝、6勝、9勝、12勝、15勝。「どうせわざわざデッキを作って勝ったって、使いもしないカードのステンドグラス仕様が貰えるだけでしょ?なんだかな」とか言っているお前の問題だ。

お前は何のためにマジック・ザ・ギャザリングをしている? 晴れる屋のデッキリストを見て、「こんな神話レアだらけのデッキは買えないなぁ」とか言いながら、流れていくメタゲームをイゼ速とか見ながら、ファミリーのためにメイクマネーしてる間に、次のブロックが来て環境が変わる。お前はマジックのどこにいる? お前のひらめきが輝く戦い/War of Sparkはどこだ? それがArenaの期間限定イベントだ。

俺は構築もリミテッドも良くてゴールドティアーくらいだが、2時間で15勝できたので、何をどうしたか書いていく。今回俺が作ったのは青黒ミッドレンジだ。

デッキリスト

<クリーチャー> 21
ルーンの壁 3
ラゾテプの肉裂き 4
エイヴンの永遠衆 4
呪文持ちの奇魔 2
囁く工作員 3
灯を刈り取るもの 1
地底街のゴミあさり 3
冷水カミツキガメ 1

<スペル>15
潜水 2
菌類感染 1
灯の収穫 1
中略 1
本質の散乱 2
風と共に 1
オヴ・ニクシリスの残虐 3
有毒ガス 1
ディミーアのロケット 1
致命的な訪問 2

<土地> 24
ディミーアのギルド門 4
島 11
沼 9

デッキリストはこうだ。一見、未調整で煩雑なリストに見えるだろうが、実際このまま適当に勝てて、調整する前にやることが終わったので、これの微妙な部分をどうにかするのは、真似てみようと思ったやつの仕事だ。ここから先はこのデッキを組むに当たって、俺が考えたことをまとめておく。

環境を下見して考える

スタンダードpauperはめちゃくちゃカードプールが狭い環境だが、MtGA開闢から3度くらいに渡って行われてきたので、それなりにバリエーションは出揃っている。前環境のことはお前の持っている端末でググれ。

始めるにあたって俺はとりあえず「スタンダード pauper 灯争大戦」でググった。出てきたのはこちらの記事だ。(ゆる速MTG様、貴重な情報をありがとうございます)

似たようなワードで2~3語探っても、なかなか今環境の記事がヒットしなかったので、おそらく俺と同じようにググってみた奴は、燃え立つ預言者/Burning Prophetや、呪文喰いの奇魔/Spellgorger Weirdを中心にした赤系デッキを手始めに試してみるだろうと考えた。

仮にこれがワールドワイドでグローバルにトレンドなら、これをメタれば勝てるはずだ。だが、実際、このデッキがどういうふうに動くのか? 何をされたら困るのか? いつもならレアのワイルドカードが足りずプロキシも作れないので、信じるデッキで死に覚えするところだが、Pauperの良い所は実際に自分で作ってやってみれるところだ。実際に2~3戦してみると、このデッキリストには以下のような弱点があることがわかった。

1.タフネス4がやっぱり厳しい

pauperだろうがモダンだろうが、赤いビートダウンにおけるタフネス4は、山田勝己/Katsumi Yamadaにおける「そり立つ壁」だ。ただブロックするだけだったとしても事実上「アタッカーのパワー×動かさなかったターン数」のライフゲインが出来るといっていい。

ルーンの壁/Wall of Runesは、ギトゥの溶岩走り/Ghitu Lavarunnerやヴィーアシーノの紅蓮術師/Viashino Pyromancerに対する事実上の除去だ。しかも1マナで、占術1(スタンダードPauperにおいてはキャントリップに近い)がついてきて、後々の生贄ネタにもなる。流石に4枚は腐るので、3枚入れた。

2.呪文喰いの奇魔、燃え立つ預言者の軸を潰すとリカバリー出来ない

赤系ウィザードアグロは、燃え立つ預言者のスペルを唱えるたびの占術によって、不要な土地ドローを弾くことと、際限なくサイズを高め続ける呪文喰いの奇魔のサイズが中盤~終盤の武器になる。赤青であれば潜水/Dive Downでこういったシステムクリーチャーを守る動きもしてくるだろう。コンバットの中でマナを使い果たしたタイミングに、インスタントの除去を押し込む必要がある。焼き鳥/Ob Nixilis's Crueltyは環境最優の除去で、包囲ワーム/Siege Wurmとかにも突き刺さる。

3.序盤~中盤で盤面を取り返されたときの選択肢が少ない

結局の所、ビートダウンはライフを詰めることによって、相手の行動の自由を縛り、相手は「事実上、手札の半分は出してる場合じゃない」といった状況に押し込みつつ、「火力なら何を引いても勝ち」という状況に持ち込むことで、カードやボードのアドバンテージの差を無化することを狙っている。

相手に捲られたあとに押し込めるだけのカードパワーを持つ、実験の狂乱/Experimental Frenzyなどはコモン構築戦には存在せず、序盤に躓かせ、盤面優位を取り返してしまえば良い。少しでも早く、デカい奴を出す。青黒という虚弱な2色にそんな奴がいるのか。実際いた。

地底街のゴミあさり/Undercity Scavengerは4ターン目に5/5という赤の除去で処理できないサイズで登場する。さらに占術2によって、確実に次の有効牌を引きにいくことが出来る。赤系アグロに対しては、着地と同時に処刑用BGMが流れるようなタイプのカードだ。

こいつを守って地上を封殺しつつ、あとは来た順に除去していきながら、占術と諜報で無駄牌を弾いていく。一枚で盤面をまくるのが難しいpauperにおいて、占術・諜報はドローに近い価値がある。お互いに1ターンに1枚ずつドローしていても、10ターン後に相手の有効牌が5枚で、こちらがそれを潰す5枚と別の生物2枚を引けていれば、その2枚で殴っていけば勝てる。

このデッキには明確に手札が増えるカードは少ないが、大量の占術・諜報を入れている。無駄な札を弾いて有効な札を引けば、それはアドだ。

強いクリーチャーを選ぶ

環境のビートダウン・アグロに対しての回答を考えた上で、強いクリーチャーを選んでいく。殴らずに締め上げて殺せるなら苦労はしない。貧乏人/Pauperは汗水たらして働かなければならない。

そして全体除去が有毒ガス/Mephitic Vaporsの-1/-1くらいしかない世界において、「1枚で2体出す」という動きは単純に強く、こいつらがまっさきに当確する。

軽い足回りを固めるこの2枚はガッチリ4積みしたい。地底街のゴミあさりを強く使うためにはサクり種も用意する必要があり、これらで生んだゾンビ・トークンや、仕事の終わったルーンの壁を使っていくことになる。

ついで強いクリーチャーはコレだ。除去としても優秀で、タフネス3を奇襲的にブロックで粉砕しながら、諜報によってこっちが先に次の有効札を引きに行くことができる。

そして青黒を組む上で忘れてはならないのが、冷水カミツキガメ/Cold-Water Snapperだ。タフネス5の呪禁、それは事実上、どうやっても壊せないといっているのに近い。青黒のミラーマッチでは、コイツを置かれてしまうと、こちも置いて膠着させるくらいしかやりようがなくなってしまう。1枚は入れておく必要があった。こいつらに加えて、5/5ゴミあさりが攻めの中軸になる。

除去、打ち消し、奥の手

除去のファーストチョイスは焼き鳥。特に白ウィニーや白飛行ビートで多用される組織の伝書使/Syndicate Messengerの死後1を封じられる点は大きいし、インスタントタイミングでセレズニアの薔薇たてがみのケンタウルス/Rosemane Centaurを処理できる手段は唯一と言っていい。とはいえ3マナのインスタント除去としては、クロックも兼ねる囁く工作員もいるため、3:3の配分とした。

次いで致命的な訪問/Deadly Visit。5マナと重めだが、諜報2で得られるリターンは絶大だ。灯の収穫/Spark Harvestも強力だが、アド損しながら1マナで除去しないと困るシーンが少なかったため、2:1とした。

菌類感染/Fungal Infectionは、ラノワールのエルフ/Llanowar Elvesから始動するデッキや、ウィザードアグロに対する序盤の有効なアクションで、後々地底街のゴミあさりで食べる苗木も作れる。

打ち消しは5枚。本質の散乱/Essence Scatterが2枚、潜水/Dive Downが2枚、中略/Syncopateが1枚。
基本的に2T目はラゾテプの肉裂きが引けていなければ相手にターンを渡すだけなので、本質の散乱や中略を構えるチャンスはある。
潜水はこのデッキのフィニッシャーである地底街のゴミあさりを守れるだけではない。誰でもフィニッシャーになる風と共に/One with the Windを安全に使うためでもある。諜報や占術でデッキを掘り進めて、カメやゴミあさりに付けて守る体制が、このデッキのフィニッシュワークの一つになる。

忘れた頃にネズミに轢き潰されないように、これも忘れるな。

戦い方や相性について

このデッキで当たった相手と記憶にある限り、ザックリとした相性を書いて、筆をおこう。

この記事を書いている間に、多くの情報が多くのプレインズウォーカーから発信され、環境は目まぐるしく変わっていくだろう。
だが俺が赤単ウィザードを見てデッキを組み、この記事を書いたように、この記事を読んだ誰かがまた、誰かの目に止まるようなデッキを作り・・・、環境はイベントカバレージで変わるんじゃなく、お前自身が変えるのだ。幸運を祈る/Good Luck。

赤系ウィザードアグロ: 有利
そもそもコレを仮想敵として作ったのだから当然だ。相手はルーンの壁を心火やコンバット+火力でないと突破できないし、ラゾテプの肉裂きで出てきた1/1トークンで、ヴィーアシーノなんかもまごつく。

白単ウィニー系・飛行系: 有利
引き続きラゾテプの肉裂きなど、1体で2枚出てくるクリーチャー陣が地上をしっかり止めてくれる。銀嘴とかを出してオーラで鍛えてくるようなフライヤービートダウンは除去の的であり、どうとでもなる。一旦凌いで膠着すれば、相手は土地を引き、こちらは占術・諜報で有効牌を並べ、いずれ勝つ。

セレズニアトークン: 厳しい
反面、トークンでの横並びに特化したタイプは不利。タフ1が多いウィニーと違い、トークンは熊が多く、相手の1枚にこちらが2枚使わないと処理が追いつかない。とはいえセレズニアトークンは、こちらが得意とする燃え立つ預言者を軸にした赤系アグロが厳しいのは幸い。

不正相続コントロール: 有利
不正相続を軸にした前環境型のコントロールに対しては、地底街のゴミあさりやエイヴンの永遠衆など、ドレインを上回る速度のクロックを置ければ強く行ける。動員の永久封殺を狙って、捕獲球/Capture Sphereなどの擬似除去エンチャントが飛んできた場合も、地底街のゴミあさりや灯を刈り取る者などで軍団をサクれば良い。

緑系ビートダウン: 有利
横並びにしてこないタイプであれば、どれだけでかくても何とかなる。足元のマナクリは序盤に処理できなかったなら無視して、出てくる大物に確定除去を食らわせること。

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