今週のCASE・MaaSプレイヤーたち: Stellantis(ステランティス)

事業内容とコメント: FCA(フィアット・クライスラー・オートモビルス)とグループPSAは両社の対等合併により設立される「ステランティス」の実現に向けて、両社の対等合併の承認を議題とする臨時株主総会を2021年1月4日に開催すると発表しました。
世界新車販売台数ランキング8位のFCAと同9位のPSAグループが対等合併することによって、1位のフォルクスワーゲングループ、2位のルノー日産三菱アライアンス、3位のトヨタグループに次いで、世界4位の自動車グループが誕生すると見込まれています。
今回はそれにちなんでステランティスについて取り挙げたいと思います。

FCAはフィアットとクライスラーの合併によって2014年に誕生し、その背景には経営不振に陥っていたクライスラーに対するフィアットの資本参加があります。主な保有ブランドにはフィアット、アルファロメオ、マセラティなどといったいわゆる"イタ車"と、クライスラー、ジープ、ダッジなどのいわゆる"アメ車"があります。現在FCAで最も販売台数を伸ばすブランドはジープとなっており、まさに日産とルノーの関係と同じく、経営不振時に資本支援された側が現在はグループの"稼ぎ頭"となり全体を支えるような構図となっています。

グループPSAは 1976年に経営難に陥っていたシトロエンをプジョーが傘下に収めたことで誕生しました。2016年までは「PSAプジョー・シトロエン・グループ」と呼ばれていましたが、その主力ブランドであるプジョー、シトロエン、DSのブランド力を均等に表現する目的などで「グループPSA」と社名を変更しています。現在グループ内で最も販売台数が多いのはプジョー、次いでシトロエンとなっています。

FCAとグループPSAの販売台数から見る力関係は冒頭でも記載した通り、FCAが8位、グループPSAが9位と均衡しています。両社で最も販売台数の多いブランド別で見ても、FCAのジープとグループPSAのプジョーはほとんど同じ台数を販売しておりこちらも均衡しています。だからこそ今回のような対等合併という話が実現に向けて動いているのだとうかがえます。

特筆すべきはその補完関係です。自動車セグメントで見るとFCAは高級車・SUV・トラックなどに強みを持ち、グループPSA PSAは小型車・大衆車・小型商用車に強みを持ち、補完関係となっています。また強みとする地域でもFCAは北米・中南米に強みを持ち、グループPSAは欧州に強みを持っています。このように事業ポートフォリオを充実させ、ステランティスは世界最大のフォルクスワーゲングループやトヨタグループと競争していくと考えられます。

参考URL: https://response.jp/article/2020/11/23/340564.html

会社名:Stellantis(ステランティス)
設立:2021年予定
本社:オランダ・アムステルダム
代表者名:ジョン・エルカン(会長)、カルロス・タバレス(CEO)

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