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日本で最高の街はどこか?(私調べ)

Eric Kayserの本店に行ってきた。
思ったよりもこじんまりしていて驚いた。

メゾン・カイザーと言った方がわかりやすいだろう。
あの硬いパンで有名なパン屋だ。

今回調べてみて初めて知ったのだけれど、メゾン・カイザーはエリック・カイザーが(あんぱんで有名な)木村屋と提携して展開しているブランドのようだ。

だからメゾン・カイザーには日本にしかなく、パリにはない。
そして日本にはエリック・カイザーはない。
日本でメゾン・カイザーといえば硬いパンだが、パリのエリック・カイザーではあの硬いパンはみかけない。

日本でメゾン・カイザーとPAULを見かけると心が躍るが、パリではコンビニにようにあちらこちらにある。

日本の街の話をしよう。
ついつい辛口の本音を気持ちよく書いてしまったので、個人的な知り合いの方はできれば読まないで欲しい。
友人を一人でも失いたくないので。

いまは池袋に住んでいるけれど、次に住むとしたらどの街がいいか。
不遜な言い方をすれば、どの街なら暮らせるか。

そういうことを考えるときの基準の一つに、あの店があるか、というのがある。

あの店。
たとえばパン屋ならPAULとメゾン・カイザー。
洋菓子ならヴィタメールとピエール・エルメがあればうれしい。

モロゾフとユーハイムのない街には住めない。
そんな街は都市とは呼べない。(個人の感想です。)
紅茶のマリアージュ・フレールは探せばどこでも買えるだろうけれど、店舗を構えるような街に住みたい。

そういう文化を大事にしている人が多いっていうことだから。

和菓子なら仙太郎。
仙太郎が近くにあるかどうかで、日々の生活の奥行きがずいぶんと変わってくる。

和惣菜なら和久傳があれば最高だけれど、せめてなだ万くらいは欲しい。
地雷也の天むすと亀戸升本の弁当が買えればうれしいが、関東以外の街に升本は望めない。

いずれも日持ちのしない食べ物なので、ネットでは購入できない。
こういうスペシャルな店が充実していない街には僕は暮らせないだろうと思う。
(あくまでも個人の感想です。)

というわけで、暇に任せて、一流店の国内店舗の立地を調べてみた。

PAULは25店舗あり、関東より北は札幌に1店舗のみ。関東と関西には多く、名古屋はゼロ、福岡に1店舗。

メゾン・カイザーは30店舗あり、北海道にはなく仙台に2店舗、関東と関西には多く、名古屋も2店舗、福岡と熊本に1店舗ずつ。

ヴィタメールは22店舗あり、ほとんど関東と関西にあり、それ以外には名古屋に2店舗。

ピエール・エルメは14店舗。倶知安と京都のパークハイアット、名古屋三越、京都伊勢丹、神戸大丸にあり、残りは東京と横浜。

仙太郎は京都の本店を除いて16店舗。東京(5店舗)、横浜、名古屋(2店舗)、京都(4店舗)、大阪(3店舗)、神戸に店を構える。

今度は都市ごとに見ていこう。

札幌や仙台はこの手の店が意外に少ないようだ。
それがすべてを物語っている。

我が愛しの福岡はPAULとメゾン・カイザーが徒歩圏内にあるのがうれしい。
仙太郎はないが、まあ、鈴懸があるしね。
ピエール・エルメがない代わりにジャン・ポール・エヴァンがある。

名古屋はさすがだ。
高島屋にメゾン・カイザー、仙太郎、ヴィタメールが入っている。
三越にはピエール・エルメもあり、PAULさえ我慢すればじゅうぶん暮らしていけそうだ。

神戸はメゾン・カイザーから無視されている。
まあ日本のパン文化の中心地なのでメゾン・カイザーがないくらいでこの街の魅力が下がることはない。
神戸大丸だけで、PAUL、ヴィタメール、ピエール・エルメがあり、阪急まで歩けば仙太郎がある。
やはり成熟した街だ。

大阪にはなぜかピエール・エルメがない。それ以外のものはもちろんあるのだけれど、散らばっている。
意外に不便だと思った。
うめだ阪急は新宿伊勢丹と並ぶ日本のトップデパートだと思うが、PAULもメゾン・カイザーもない。
大阪育ちの自分にとっては食文化を考える際の原点のような店なのでもう少し頑張って欲しい。

京都は人口規模からすれば、やはり恐るべき街だということがわかった。
伊勢丹だけでもPAUL、メゾン・カイザー、仙太郎、ピエール・エルメがある。
新宿店よりも勝っている。
大丸も高島屋も充実しており、この街では都会暮らしの醍醐味を存分に謳歌できる。
そしてなによりも京都には京都がある!

横浜は高島屋とそごうを足してようやく京都伊勢丹に並ぶ。
モダンでシャレた都市イメージの割にはこの街の食のレベルはおしなべて低いように思う。
ミシュランにもスルーされているようだ。
都市の成熟度というのはこういうところからも見えてくるように思う。
(感じ方には個人差があります。)

さて、東京だ。
新宿がやはり圧倒的だ。
伊勢丹だけでメゾン・カイザー、仙太郎、ピエール・エルメが揃う。
高島屋、小田急、京王とあわせて、おいしいものがここまで集まった街は世界でもそうはないだろう。

これに渋谷、池袋、日本橋が続く。
驚いたのは東京大丸の充実ぶりだ。この店だけでPAUL、メゾン・カイザー、ヴィタメール、ピエール・エルメが揃う。
京都伊勢丹に匹敵する力の入れよう。

神楽坂にはPAULとメゾン・カイザーがともにある。
おフランスの街の面目躍如だろう。

郊外だと、立川はPAULとメゾン・カイザーが、玉川にはPAULとヴィタメールがある。

今回、調べてみて、自分の基準だとどの都市が成熟しているのかがよくわかった。
どの街なら住めるのかが見えてきた。

土屋賢二は無人島に1つだけ持っていくとすると何を持っていくかと問われて、「都市を持っていく」と答えた。

ドイツ語の試験で1つだけ自由に持ち込んでよいといわれた学生がドイツ人を持ち込んだという。twitterの与太話だ。

東京なら大丸と、京都なら伊勢丹とつながっているマンションで暮らしたいものだ。

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