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書いてきてよかった。本当によかった。

ギタリストのジユンペイさんが、ご自身のラジオの中で、
大好きな作家の原田宗典さんと私の共通点や、私が書いた物語について、話してくださいました。
(36:54から始まります)

読書量の多いジユンペイさん。
前回のセブンスラジオで、次にこの話をします、とおっしゃっていたので、
どんな内容なんだろうと、どきどきしながら待っていました。

私にとって、原田宗典さんは、大ファンであると同時に、物書きとして、強く影響を受けた作家です。
具体的な「影響」は、こういうところ。

・1ページの掌編小説から、分厚い大長編小説まで、どんなボリュームでも、おもしろく書く。
・日常を切り取ったような物語から、とても不思議な物語、恐怖感が漂う物語など、変幻自在なバリエーション。
・一人称でも三人称でも、心理描写に体温がある。
・大長編でも、読み手を最後まで飽きさせず、物語に惹き込み続ける。
・どこにでもあるような物語にも、奇想天外なストーリーにも、実際に起こっているかのようなリアリティがある。
・それでいて、フィクションだということが明確なので、読後にメンタルを引きずられ過ぎず、安心して読める。

そして「物書きとして影響を受けた」ということは、すなわち、私はこういう物書きになりたいんです。

今回、ジユンペイさんは、拙著「パラダイス」に納めた短編の1作「ガーディアンベル」を取り上げて、話してくださいました。
そして、最初におっしゃった感想が、ものすごく嬉しかったんです。

リアルだな、どこにでも日常的に起こりえることだな、と思いました

!!!!!!!
私が小説を書くときに、いちばん目指していることが、これなんです!

小説を書く人には、それぞれ、強みがあります。
ストーリー展開で読ませる、文章で読ませる、雰囲気で読ませる、など。
そして私は、自分の強みは「心理描写」だと思っているんです。

心理描写に欠かせないのが、リアリティ。
それを目指して、あれこれ工夫するうちに、プロットをざっくりとしか決めず、頭の中で登場人物が自然に動くのを書きとる、そんな作り方をするようになりました。
(例外的に、サスペンスだけは別な作り方をします)
また、心理描写を読んでいただくために、小説を書く時の文章は、読みやすさにしかこだわっていません。

すべては「日常に起こっているかのようなリアリティ」を目指すために。
そして、それがジユンペイさんに伝わっていたこと、本当に本当に、嬉しかったんです。

そして、ジユンペイさんが、原田さんと私の共通点として挙げてくださったのが、このことでした。

実際に起こったことのようなのに『これは小説です』という雰囲気があります

!!!!!!!!!!
私、これ、できていたんだ!!!
思わず、目頭が熱くなりました。

「フィクションだということが明確なので、読後にメンタルを引きずられ過ぎず、安心して読める」
リアリティと両立させるのは難しい、原田さんのこの特徴を、私もぜひ取り入れようと、生意気ではありますが、心がけてきました。
とはいえ、心がけてはいても、できている自信がなかったので、ジユンペイさんの言葉を聞いたときは、衝撃的に嬉しかったんです。

先日、あるミステリー小説を読みました。
物語の続きが、ラストが気になって、一気に読破してしまったほど、素晴らしい作品。
すごくリアルで、読んでいるときはのめり込んだのですが、犯人の動機や、殺害に至る背景がとても悲惨で……読後、私は軽い不眠が続いたほど、メンタルを引きずられてしまいました。

自分が書くものは、たとえ悲しい物語であっても、怖い物語であっても、読む方がメンタルを引きずられ過ぎない「リアルな作り物」にしたいんです。
そのためには「実際に起こったことのようなのに『これは小説です』という雰囲気」が必要だと思っています。

書き手というのは、自分が書いているものが、読み手を通した時にどうなのか、意外とわからないものです。
(だから、私は本を作ったとき「絶対に校正が欲しい」と思いました)
私も時々、目指すもの、心がけていることが、実際に自分の小説に反映されているのか、不安になります。

今回、ジユンペイさんが「実際に起こったことのようなのに『これは小説です』という雰囲気があります」とおっしゃってくださったことは、私にとって、大きな自信になりました。

そして、いちばん嬉しかったのが、この一言です。

『ガーディアンベル』は、大好きな作品です

!!!!!!!!!!!!!
物書きに、これ以上幸せな言葉はありません!!!

私はこれまで「もっと自信を持っていいよ」と、みんなに言っていただきながらも、物書きとしての自分に、自信を持ちきれていませんでした。

でも、今回、ジユンペイさんがラジオで「物書きのさわきゆり」を取り上げてくださったことと、そのお話の内容から、私は「自信」という、大きな力をいただきました!

ジユンペイさん、心から感謝申し上げます。
本当に、本当にありがとうございました。

そして、私は今、こう強く思っています。

書いてきてよかった。本当によかった

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