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ハンデキャップのある方とのコミュケーションについて

以前、お仕事で、ハンデキャップのある方との、お付き合いの仕方の冊子を作りました。その中のコミユニケーションに関する箇所です。支援する立場の勝手な記述なで、もし失礼があればご指摘ください、しかしせいいっぱ書きました。


杉原先生が話しました。
「昔、一人でドイツに行きました。ドイツのハンブルク駅でコインロッカーに荷物を預けたのですが、今度開ける時、鍵を回してもロッカーが、開かないのです。
もちろんお金を入れてロックしたのですが。もう、恥も外聞もなく、夢中でジェスチャーゲームです。
もうその時間が長くて、不安で。怖くて。
結局ロッカーの管理のおじさんがゼスチャーから、トラブルの内容を分かってくれて、合鍵で開けてくれました。
その時、私は、とっさにダンケシェーンと言いました。そうすると、おじさんは、とても嬉しそうに、うなずきました。
私は、その瞬間、私の「ダンケシェーン(ありがとう)」と言うドイツ語が通じるということを発見しました。
本当に嬉しかった。
私は、大学でドイツ語を習っていましたが、本物のドイツ人にドイツ語で話しかけたのは、初めてでした。
もし、私が、ダンケシェーンと言った時、ドイツ人のおじさんが無反応だったら、もう二度と、ドイツ語で話しかけようとは思わないでしょう」
先生は、ペットボトルの水に口をつけた。
「みんな、自分の投げた言葉が、ちゃんと受け止められるか、不安なのです。
だから、もし話すことが苦手な自閉症の方が、意味ある言葉をなげかけてきたら、しっかり答えてあげてください。
もし、お水、言ってきたら、お水って反復して、
お水を出してあげてください。
トイレと言われたら、トイレ、って反復して、トイレに連れて行ってあげてください。
もし、歌を歌ったら、一緒に歌ってあげてください。
そうしたら、自分の発した言葉が、人が何かをしてくれる、魔法の呪文だと気づくはずです。どうか無視しないであげてください。
無視すると、自分のメッセージは届かないと、穏やかな言葉や、いろんなコミュニケーションを諦めて、より強烈な行為で、人が振り向くまでメッセージを送り続けることになるかもしれません。
例えば、ものを壊したり、泣いたり、トイレを失敗したりして」
杉原先生は続けた。
「本人の本当に切実な、意味あるメッセージを発見したなら、それが、言葉であれ、ゼスチャーであれ、カードであれ、どんなに些細なメッセージでも、受けとってあげてください。
そして返してあげてください。たとえ小さなメッセージも、そのメッセージが伝わると分かったなら、次は、もう少し、わかりやすい言葉で、自信を持って送られてくるはずです。
自分のメッセージが受け取られることの、嬉しさがわかり、時間がかかっても、次第に意味あるメッセージが増えていくことでしょう。
自分のメッセージを受けとってほしいという欲求は、自閉症でも、私たちのような、定型発達の人でも同じなのです。自閉症の人が、コミュニケーションが苦手で、一人で、いると落ち着くからと行って、全くの孤独が好きなわけではないのです。
ですから、もし、自閉症の方と過ごす機会があれば、その人に興味を持ってあげてください。
どうか、同じ空間にいるのに、いないかのように振る舞わないようにおねがいします。
それは、私たちが、自閉症の方が、“人がいないかのように振る舞いがち”と思うように、自閉症の方も、私たちに対して、”無関心で、付き合い方がわからない人”という感想を持つことになるのです。
そうなると、自閉症の方から、進んで意味あるコミュニケーションをとってくる可能性はほとんどないでしょう」
そうして杉原先生は、ゆっくりと深呼吸をした。


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