船からもらう握飯 一句鑑賞004 長岡美帆
一句鑑賞第4回は『鷹』同人・長岡美帆の一句を鑑賞します。
海でおこなわれている遠泳の競技会だろうか。船に上がって握飯を食べているところをみると、主人公は途中リタイアしたのかもしれない。毛布に包まりながら、悔しさと安堵の混じった様子で握飯を頰ばっている姿が見える。
否、もしかしたらリタイアなどしておらず、競技中の沖合で立ち泳ぎのまま食べているのだろうか? まさか…😅(遠泳競技については寡聞にして識らぬため、解釈が誤っているかもしれません)
それはそれとして、季語を「遠泳や」と置いたところがよかった。「水泳や」は違うし「海水浴」でもない。
「遠泳や」と置いたことで、すかっと抜けた青空と群青色の海が見えてくる。それによって、下五の「握飯」の白さがひときわ際立つ。
季語の斡旋は俳句の一大事。掲句に見習いたいと思った。(了)