データ分析がスタートアップで果たす役割
カウシェで実感したデータ分析の役割を書く
カウシェ(創業2年目のスタートアップ)に入社して1年と少しが経ち、データ分析をすることで事業の役に立つ実感が出てきた。その感覚を言語化、整理しておく。
リソースの配分先を見定める
スタートアップではヒト・カネ・ジカンが限られており、それらをどう扱う検討するにあたって、データ分析は有益な判断材料となる。
例えば、プロダクトの機能改善を考える時、アプリのどの画面、どの動線が使われているかを定量的に捕捉することは役に立つ。特にリピーターが繰り返し訪れていたり、多くの人が通過する購入までの経路を捉えることで、改善幅の大きそうな場所を見つけることができる。
また、よく使われるが離脱につながっているポイントを見つけることで、アプリの回遊性を上げるためのヒントを得ることができたりする。
このように、ある施策がリーチできる量を把握したり、効率の良さそうなポイントを特定したりすることで、最適なリソース配分へ繋がる。
共通の判断基準を作る
さまざまな判断材料が存在し、組織各所で意思決定が頻繁に要求される、という状況へ取り組む上でもデータ分析は役に立つ。サービス提供価値の向上に資する適切な指標を選び、使いやすい形に仕立て、組織全体に行き渡らせることで、数ある判断材料に惑わされることなく、適切な意思決定を素早く行うことが出来る。
OKRなど指標の検討においては、各施策実行チームに存在するドメイン知識を織り込み、どんな具体施策が想定されるかを意識することは必要である。加えて、指標計算の複雑さ、定義の分かりやすさ、他指標との連関性などについては数値分析を得意とする人(アナリスト等)が意見を出し、現場で使いやすい指標を決めるべきである。
また、個人の経験や主観だけに寄らない組織運営を実現するためには、指標を決めるだけでなく、その指標を定常的に「手元」で観測できる環境づくりも平行すべきだ。
正しく、使いやすい指標とモニタリング環境が揃うことで、何に向かっているのか、それに対して今どこにいて、どんな行動を取るべきか、それらの共通認識を生むことができる。結果として、個々人の判断に無意識的な部分を含めた影響を及ぼし、組織に通底する判断の拠り所となっていくはずだ。
高速な改善サイクルを回す
最後に、最低限の機能をまず出し、利用者の反応を確かめ改善を繰り返すチームにおいて、データ分析が果たす価値を挙げたい。
カウシェでは「Try First」を Value として掲げており、その文化を支える役割として、適切なKPIを出来る限り早くレポートし、持続的な「Second」を呼び込む、この繰り返しが機敏な組織の土台になる。
またABテストなどの実験設計も重要である。客観的に適切な検証手法を選択し、実行と並走することで、間違った解釈を避け、着実な学習を方向づけることができる。
注意点としては、実行フェーズにおいて、データ駆動へ過度に依存すると速度が出せない場合があることは念頭に置いておきたい。時には、仮説ベースでまず実行し、後追いで分析による「答え合わせ」を行うことも必要となる。戦略レベルで「確からしい方向」を見定めた後は、可能な限り実行を積み上げることを重視すべきである。
図示:PDCAの螺旋構造(後で足す)
目的ドリブンでより良いデータ分析を
社内外からデータを集め、いい感じの処理方法を定義し、実行する。そして関係者と共有する。それら行動はここで述べたデータ分析の目的に共通する。分析をどんな目的で行うのか、それを解像度高く持つことで、必要な分析の精度や速度、不必要な要件が明らかになる。その結果、より価値が高く、丁度良いデータ分析が増えていくのではないかと思う。
もっと詳しく話します
カジュアル面談やってます!スタートアップ組織におけるデータ活用のリアルをお伝えします。
参考
情報を集め、どこ(戦地)にリソース(兵力)を割くか、情報参謀のリアルが詰め込まれています。手に汗握ります。
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