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【短編推理小説】五十部警部の事件簿

事件その11

五十部警部はその日、中学時代の同窓生で今は田舎の巡査をしている田中文吉という男とばったりと出くわした。
喫茶店に入り珈琲を啜りながら身の上話をするうちに、近頃は近郊の田舎でもオートバイクを乗り回す無軌道な若者たちが現れて困るという話題になった。
彼の所轄に特に悪質な四人組がいるという。車や商品を盗むだけでなく、どうも殺人の嫌疑もかかっているらしい。
田中巡査によると四人について分かっていることは以下だけであるという。

四人は柴田勝男、今池太郎、幸田文吉、高橋次郎である。
今池の弟と頭目のいとこは共に列車でスリを常習としているという。
四人の内の一人はバイクの修理工で、四人の乗るバイクに新しい部品を付け替えたりしているという。頭目とこの修理工の妹は恋仲だそうだ。
柴田と修理工の男は高橋次郎のピストル射撃が上手いとほめていた。
彼は少年時代に満州にいて自警団で軍用の射撃術を習ったらしい。
その高橋は数日前に、自分が弟分にしている若者二人を連れて、アジトにしている丘陵地帯の雑木林にある防空壕に現れ、二人を一団に加入させて欲しいと頭目と修理工に頼んだが断られた。
 
さて、誰が頭目で誰が修理工か分かるかな?

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