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親、時々妖精。

親となり一通りの年中行事をこなしてきた者として、ふと湧き上がる疑問。私、子どもの頃一体何歳までコレを純粋に楽しんでいたっけ?

メルヘン界の王者、クリスマスに関しては確か私が小学校二年生くらいの時にうやむやに終了した。旦那に聞いてもだいたいそんなもん。サンタの存在が曖昧になると同時に私の子ども時代のメルヘンは概ね終了したように思う。

私と旦那の勝手な願望なのでコレがいいのか悪いのかは知らんのだが、子どもたちにはなるべく長くこんな行事を楽しんでほしいと思っている。しかし息子も娘も大きくなるにつれ「サンタはお父さんとお母さんって◯◯が言ってた」「節分の鬼はパパなんでしょ」と口にするように。あちゃー。しかし、我々夫婦はこんな事で諦めたりはしない。

まず、クリスマス。定番の「家に煙突ないのに問題」を提示してきた息子に対し、「よく気付いたな…。実は今まで毎年、クリスマスの夜はサンタさんが入れるようにママとパパが窓を開けててん。けど息子がそれに気づいたんだったら、今年からは寝る前に窓を少し開けておいてくれる?」とお願いする。我々は子どもメルヘン問題に関しては真剣に取り組むという暗黙の了解があるため、窓だけでは息子の疑惑が晴れぬことも承知している。そこでクリスマスまでに時間をかけて家のリビングにサンタがプレゼントを置いている的な画像を合成し、「サンタさんの写真が撮れた」とクリスマスの朝に子どもたちに見せるのだ。ちなみに私は学生時代にそのテのバイトをしていた為、合成に関してはお手の物である。最後に全体に手ブレ的な加工を加えて「ママも慌ててたからちょっと写真ブレてしまってん」というリアリティも加える。写真がブレることにより合成のアラも飛ばされるという一石二鳥の加工。クリスマスの朝、閉め忘れた感を出すために細く開いた窓と手ブレ感溢れるサンタの写真を見て子どもたちはなんとなくまだサンタはいると信じている様子。

そして節分。子どもが小さいうちはスーパーでもらえる紙のお面でも十分だったのにすぐに慣れてしまい鬼に対して余裕を見せるようになったため、豆とセットになっているやや立体的なプラスチックのお面を導入。初年度は阿鼻叫喚を得るも、スーパーで同じ物が売られている様子を見てしまったりして速攻でバブルが弾けた。もはやこれまでかと思ったが、我々は諦めなかった。諦めたらそこで試合終了なのである。「既視感のない鬼的なマスク(色はできれば赤)」というオーディションテーマで夜な夜なAmazonや楽天を徘徊。2人で相談して鬼のマスクとテカテカのサテンのマントをポチった。しつこいようだが我々節分ガチ勢なのでドンキで売ってる宴会グッズ寄りなアフロ付きの鬼ではなく割とマジで怖いヤツを導入した。

旦那が豆まきのために鬼のお面を取りに行くと言って二階へ行く→マジの鬼に襲われる→マジの鬼襲来というシナリオで2年ほどお送りした訳だが、やはり慣れからか子ども達にも余裕が出てきてしまい「靴下と手がパパと同じ」などと指摘するようになり、今年の節分は「どうせ二階でパパが着替えてくるんやろ」と聞き捨てならぬ台詞を吐かれることに。コレはイカン。早速深夜、緊急の節分会議が開かれた。確かに毎度毎度二階から鬼が現れるという演出に頼り切っていた為、そこは我々も反省すべきという結論に。なので、今年は趣向を変えて鬼が外から訪ねてくるスタイルを取ることとなった。

今年の節分は平日だったので、昼の内に私が車のトランクに鬼グッズと黒いヒートテック上下、黒い園芸用手袋(肌見せ防止用)を仕込む。夜、仕事から帰ってきた旦那は車で衣装をチェンジしてピンポンを押して鬼が玄関から入ってくるという段取りに。玄関の鍵は鬼が魔力で開けた設定にする為事前にコッソリ開けておき、タイミングや登場の仕方に関して何度も打ち合わせを重ねた。

パパがいない時間に鬼が現れたことが衝撃だったらしく、今年の節分は大層盛り上がった。鬼の役目を終えてから暫く車で時間を潰して何も知らぬ設定で旦那が帰宅。節分なので近所を鬼がうろついていたという旦那の話に表情を固くする子どもたち。とはいえこんな小細工なんてあと数年も通用しないんだろうけど、人生ってそういうメルヘンが終わってからの方が圧倒的に長い。一度「ない」の側に来てしまうと「ある」側に戻るのは難しい。だったら少しでも長く楽しんでほしいというのが私たちがメルヘンに全力を注ぐ理由なのかもしれない。

で、最近トイストーリーをテレビでやってたのを見た子ども達。映画ってすごいなって毎回思うんだけど、トイストーリーを見ると子ども達はめっちゃおもちゃを大事にするようになる。気に入ったおもちゃをAmazonの空箱の周りに並べて基地を作ったり、自分たちのおもちゃも見ていない間に動いているかも…と話しているのを耳にする。これはメルヘンチャンス!!というわけで休日、出かけるときに子どもたちが先に玄関で靴を履き始めているときなどは戸締りを確認するついでにリビングのおもちゃ達の位置を動かして、テレビの上に乗せたりしておく。帰ってきたときにおもちゃが変な場所に移動しているのを見て「え〜!なんでこんな所にあるん⁈」と嬉しそうに驚く子どもたち。旦那は「しまい忘れてたんじゃない?」としらばっくれ、ちゃんと片付けたもん!と言う子どもたちに「じゃあ戻るの間に合わんかったのかもしれんな…」ともっともらしく真面目なトーンで話す。「出かけてる間、おもちゃ達何してたのかな?」と2人はウキウキ。

終わったはずのメルヘンを、違う角度から見る日が来るなんて若い頃は思いもしなかった。大きくなった子どもたちからクリスマスや節分の感想を聞くのが今から楽しみだ。


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