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業務上災害と私傷病の境界線

以前のnoteにも書きましたが、持病を持っている従業員が業務中に、その傷病の為に、就業が出来なくなった場合、労災申請をすべきか?という疑問が出てきます(以前の記事はこちら)。

明確に持病が原因と判断出来れば、最初から私傷病として傷病手当金の申請を行う選択もあります。

では、業務上の傷病か、私傷病かが不明確な場合は、どのように対応すべきでしょうか?そもそも傷病自体が、100%労災ということも100%私傷病ということも、白黒はっきり何の疑義もなく区別できるものは意外と少ないものです。(もちろん業務上事故に遭ったりすると100%業務上の傷病でしょうけど)

判断がつかない場合は、一旦労災で申請する、という考え方もあります。この場合、休業していれば平均賃金の8割(2割は上乗せ給付)まで補償されます。

他方、私傷病として健康保険の傷病手当金を使うと、標準報酬月額をもとに計算され概ね月額の3分の2が給付されます。

仮に休業期間が短い場合は、単に有給を申請して満額の給与をもらった方がいい、という従業員もいるでしょう。

つまり、上記を選択するのはあくまで従業員なので、単純に金額面だけみると上記のような違いがあり、短い休業であれば有給を使いたいという方も割といるものなのです。

もちろん明確に業務上の傷病であるのに、有給を申請させるように働きかけることは行うべきではありません。

大切なことは、実態に最も近い申請を労働者が行うことが出来るように状況を把握して、あとは本人に選択してもらうことでしょう。

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