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前澤ファンド4,300件応募中60件まで残っている私たちの企画についてご紹介します。

 先日、前澤ファンドの3次審査まで通過している経緯をこちらに書きました。どんな企画内容なのか、の詳細は後日お話しできると思いますが、今日は面接審査で前澤さんにもご説明し、共感いただいた私の取り組みをご紹介したいと思います。

認知症の方を減らさなくてはいけない

 2025年問題と言われる、団塊の世代がすべて後期高齢者の仲間入りをする2025年に認知症罹患者は700万人を超え、予備軍を含めると1,500万人が認知症と向き合うと言われています。これは当人は勿論、家族を始めとする周囲の人たちへ金銭的、物理的に計り知れない重圧がかかることを示しています。
 更に新型コロナウイルス感染症の影響で、外界との接触を絶たざるを得ない高齢者の方々の認知症への進行が早まっている現実があり、認知症を取り巻く現状は悪い意味で前倒しになっています。

認知症の根幹的な薬物治療法は未だありません

 今のところ「薬」はありません。最近発表された新薬アデュカヌマブでさえ、初期の認知症が対象で根幹的な治療薬ではありません。もともと加齢によるアルツハイマー型認知症などは経年劣化のようなものですから、薬で一気に戻す(若返らせる)ことは難しいとされています。そこで予防や進行抑制が大切になるのです。

コミュニケ―ション不足が認知症を進行させる

 認知症は「会話」をしなくなると急激に進行します。家族や近所づきあいなどで毎日必ず会話している高齢者に比べ独居状態で誰とも話をしない高齢者の認知症発症率は約8倍という研究結果もあるほどです。更に日本回想療法学会の実際の事例から愚痴などのネガティブな会話より、笑顔を伴うポジティブな会話の方が認知症予防・進行抑制に結びつきやすいという事が分かっています。

高齢者とのコミュニケ―ションは難しい?

 介護などに携わる人たちはご存知と思いますが、自分よりも何十歳も年上の方々と意思の疎通を図るのは容易ではありません。毎日「良い(悪い)天気ですね」では会話は成立しません。かといって共通の話題を探すのは大変な作業です。体操や塗り絵などのレクリエ―ションから会話が生まれる事もあるでしょうが、深い話にはなかなかならないものです。しかし昔の思い出となると話は別です。沢山のストックがある筈ですので、それを引き出すことさえできれば話が尽きることはありません。

高齢者には未来がない?でも...

 年を取ると赤ちゃん帰りするなどと言いますが、子供の場合成長するに伴い、経験を積む、人格が形成される事でその子の未来につながっていきます。一方、残酷に聞こえるかもしれませんが高齢者には赤ちゃんに帰ってもその先に未来はありません。しかし、高齢者には過去の出来事が沢山あります。膨大な過去の記憶を思い出しておしゃべりすることが出来たら、当人にとってこれほど喜ばしいことはありません。そしてそれは認知症予防や進行抑制に結びついていくのです。

どうやって過去の記憶を引き出すのか?そして…

 個々の記憶は異なるわけですからそれを引き出す方法も千差万別という事になります。そこで今、回想療法に注目が集まっています。皆に共通している懐かしい行事、生活習慣や街の風景の写真、道具などをトリガ―に記憶を引き出していく心理療法です。そして、回想療法を重ねるうちに何歳くらいの時の記憶を引き出すのが良いのかという事が分かってきました。

ADL記憶とは?

 ADL記憶(Activities of Daily Living=日常生活動作)とは、神経系の発達がほぼ完了すると言われる12歳に前後三年間の幅を待たせた10~15歳の記憶のことです。ADL記憶を喚起すると、日常生活動作(食事、排せつ、衛生保持)が維持され高齢者の生活機能の向上が見込めること*から数多くの研究が進められており、日本回想療法学会ではこの10~15歳の記憶を呼び戻すことを念頭に心療回想法を実施しています
*日本回想療法学会が2013年に日本心理学会第77回大会で学会発表した「ADLを低下させる記憶群の消失」によれば「10~15歳の記憶が消失するとADLも消失し、その相関関係はr=.98という高い係数であった」ということで、「記憶と行動」というまったく新しい視点で介護の状態をとらえ直すことで、認知症の行動特性を明らかにし、記憶を維持することが介護予防となることが検証された。(出展:「回想法と回想療法/小林幹児著」)

懐かしい音楽が、過去の記憶を呼び起こす

 回想療法では昔の風景の写真や、火鉢や黒電話などの懐かしい道具を使い過去を引き出していきます。ただ、ご自分の写真などがあればよいのですが、一般的な風景や道具を使用するのが殆どで自分自身のものとは異なりますから記憶喚起に時間やテクニックを要することがあります。しかし音楽はオリジナルの音源を使用すれば、当時聴いていたものと全く同じものですから瞬時に過去の記憶を呼び覚ませるのではないかと私は考えました。

懐かしい音楽に効果がある事は専門家も認めているが…

 早速、脳医学専門や認知症を研究されている複数のお医者様に相談したところ、皆さん異口同音に「懐かしい音楽に記憶喚起の効果があるのは間違いないが、オリジナル音源を使用する等著作権などの権利関係が難しいのではないかと、そこで止まってしまっている」との答えでした。効果は肯定され解決すべき課題がはっきりしましたのでジャスラックに赴き相談をし、このメソッドの実施に伴う見解を頂くことで権利の問題は解決しました。

懐かしい音楽を再体験してADL記憶を喚起する

 権利の問題を解決したところで改めて何歳くらいの時の音楽が良いのかを検討するために、昭和初期から平成までのヒットした流行歌を一覧にし、対象の高齢者が10~15歳の時の音楽を年齢を伺いながら逆算して選曲し300人以上の方に聴かせてみたところ、若い頃のお話を次々にするなど顕著な反応が出ました。中には介護士の方が初めて聞くお話もあり、皆さん笑顔で楽しんで「思いもかけないことを思い出した。ありがとう」と沢山のお礼も頂きました。

パ―ソナルソング・メソッドの誕生

 これをまとめ「年齢に合わせた懐かしい曲でADL記憶を喚起する認知症予防・進行抑制法」を「パ―ソナルソング・メソッド(PSM)」と名付けました。
 更に、認知症と診断された高齢者の43%が難聴由来の曖昧な返答から誤診されているという事実を解決するために難聴者用の特許スピーカーを発明したユニバーサル・サウンドデザイン社の中石代表と出会ったことで、画期的なビジネスプランとしてまとめ上げることが出来、前澤さんに大いに興味を持って頂くことができました。

*先日、ニッポン放送「ひだまりハウス」にゲスト出演し、PSMはじめ、弊社取り組みに関しお話させて頂きました。追い聴取も出来ますので是非お聞きください。

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