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セーター

中学生の頃に雑誌に載っていたセーターが欲しかったけれど、1万円以上してお小遣いじゃ足りないし、どのみち田舎にはそれを買えるお店もなかった。
じゃあ、自分で編めばいいんじゃない?と思い、商店街で似た色の毛糸を買い、編み始めると途中で足りないことがわかり、母にお金をもらって毛糸を買い足した。
欲しかったものとだいたい似たように編み上がって満足したアーガイル模様のウール100%のセーターの毛糸代は結局8000円くらいかかった。
母子家庭の我が家ではお小遣いは少なかったけれど、毛糸や布を買うって言うと母はさらっとお金を出してくれた。
大人になってから家族で集まって話していた時にその話とは関係なく手編みのセーターの話になり、
「セーターなんか自分で編むより、買った方が安いわ」
と、母が言った。



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