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昨晩の片倉佳史さんとの対談では虱目魚 (sat-ba'k-hî)=ミルクフィッシュについて話しました。

 虱目魚 (sat-ba'k-hî サッバッヒィ)と言う魚に対して、元々日本語の中では英語から取り入れた外来語のミルクフィッシュという言い方が以前から使われていましたが、最近では台湾語のsat-ba'k-hî (サッバッヒィ / tとkは内破音で音としては現れない)が日本人によって訛って発音されたサバヒーという言い方を外来語として使われることが多くなっています。原音はサッバッヒィのような発音で、サッとバッは促音のように聞こえます。台湾では他に「国姓爺 (kok-sèng-iâ) 」とも呼ばれる鄭成功(サッバッヒィが好きだった)にちなんで「国姓魚 (kok-sèng-hî) 」という言い方や麻虱目(moâ-sat-ba'k)、麻虱目仔(moâ-sat-ba'k-á) 、虱目仔(sat-ba'k-á)などの呼び名も使われています。

 インド洋から西太平洋の熱帯及び亜熱帯水域に広く生息している魚ですが、台湾の市場に出回っている虱目魚 (sat-ba'k-hî サッバッヒィ)のほとんどが養殖魚のようです。なんと養殖は17世紀頃から行われてきたそうです。なお、1979年に稚魚の人工孵化に成功し、1984年から稚魚の量産も行われているそうです。雲林県、嘉義県、台南県、高雄県など台湾中部から南部にかけての県で養殖が盛んです。実は雲林県に住む親戚もサッバッヒィの養殖をしています。

 台湾南部、台南では鹹糜 (kiâm-môe 塩味のお粥)の一種であるサッバッヒィのお粥が有名ですが、虱目魚糜(sat-ba'k-hî-môe)は台北市内でも食べられます。台南のものはサッバッヒィ以外に蚵仔(ô-á) =カキや塗魠魚(thôo-thoh-hî)=サワラの肉なども入れられているので、値段はけっこう高く、200元前後するようです。台北では75元から130元ぐらいの手頃な値段です。台南ではお粥に油食粿(iû-chia'h-kóe)を浸して食べたり、サッバッヒィの内臓を使った料理もありますが、台北では見たことがありません。台北ではお粥の他に麺やビーフン、春雨に入れたものや煮魚や焼き魚にした定食やお弁当をよく見かけます。サッバッヒィは老年期認知症や心臓循環器系の病気に効くなどとも言われているようです。

虱目魚肚糜 (sat-ba'k-hî-tóo-môe)=サッバッヒィトォモエ(ミルクフィッシュ入りお粥)
虱目魚肚糜 (sat-ba'k-hî-tóo-môe)=サッバッヒィトォモエ(ミルクフィッシュ入りお粥)
虱目魚肚冬粉(sat-ba'k-hî-tóo-tang-hún) =サッバッヒィトォタンフン(ミルクフィッシュ入り春雨)
虱目魚肚飯 (sat-ba'k-hî-tóo-pn̄g) =サッバッヒィトォプン(ミルクフィッシュ入りの定食)

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