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3週間ぶりの片倉佳史さんとのグルメ対談

今回は豚の足=豬跤(ti-kha ティカァ)、そして足周辺の肉の煮込み料理について話しました。

豚の足の各部位はまず下、つまり先っぽのほうから「跤尖(kha-tsiam)/豬蹄」と呼ばれ、皮と筋から成り立っています。この部分は「跤蹄(kha-tê)」とも呼ばれています。その上の部分は「中箍(tiong-khoo)/豬小腿」と呼ばれ、皮、骨、肉、筋の全てがあり、食感が豊富です。豚足の煮込み料理の主役になる部分でもあります。また「四點仔(sì-tiám-á)」とも呼ばれています。その上が「骨輪(kut-lûn)/膝關節」と呼ばれ、ひざ関節の靭帯と軟骨から成り立った部分です。そして、後ろ足の太ももの上でお尻に達しない付け根部分は「腿庫(thuí-khòo)/蹄膀」と呼ばれ、脂身の肉が多く、表面の皮も分厚い部分です。 皮のグニョグニョの食感がちょうどいいところです。そして「腿庫(thuí-khòo)」の上の部分に知高(ti-ko)と呼ばれる部位があります。運動量の多い部位なので、カロリーが低 く、腿庫(thuí-khòo)が100g、331カロリーあるのに対して、知高(ti-ko)は100g、117カロリーです。

実は知高(ti-ko)は「豬哥(ti-ko)=種付け豚/スケベ」という単語と全く同じ発音です。

豚の前足が一般的に豚足の煮込み料理によく使われます。前足は少し湾曲しているのが特徴で、先端の蹄( ひづめ )が長く、肉が多く、皮が厚いです。それに対し後ろ足は真直ぐな形で湾曲していません。運動量が少なく、全体重を支える部分である関係で、骨が太く大きいです。すじ肉はなく、皮が薄く、肉も少なく、その肉質は硬いので、値段は前足より安いようです。

豚の前足の中にある「跤筋(kha-kin)/蹄筋」=すじ肉/腱( けん )は取り出され、乾燥保存した後、とろみスープの具材に使われたりするようです。豚足料理はこのすじ肉があることで、食感の良し悪しに繋がるので、非常に重要な部分です。これが取り出されて、 別の商品として売られているか、豚足の中に残されているかで、 豚足の値段や品質に違いが出ます。

台湾では豚足は強くて健康、豊かさをイメージし、素麺( そうめん ) は細長いので長寿を表す縁起のいいものとされています。この二つが一緒になることで、悪いことが転じてよいことになり、幸福と長寿に繋がるとされ、長寿のお祝いや誕生日のお祝い、そして災難に遭った後や、退院、出獄した時に「豬跤麵線 (ti-kha-mī-soànn)=豚足入りそうめん」を食べる習慣があります。

最近、面白い光景を目撃しました。豬跤飯(ti-kha-pn̄gティカァプン)を食べた新北市蘆洲(lôo-chiu)の食堂では米を洗う時に加薦袋仔(ka-chì-tē-áka-chì-á)をザルの代わりに使っていたのです。なかなかいいアイディアだと思いました。

この加薦袋仔(ka-chì-tē-áka-chì-á)は元々はイグサ(藺草)を使って編まれた万能手提げ袋でしたが、現代では漁師が漁で使う網を素材として作られています。工事現場などで働く人が道具を入れて運ぶ時、また市場で商売をしている人が野菜を運ぶために使ったり、逆に市場で買い物をするお客さんが買い物用手提げ袋として使っています。今では色々な色の組み合わせのものが売られていて、台湾のお土産として購入する日本人観光客も多いです。

豬跤飯(ti-kha-pn̄gティカァプン)
豚の前足の中にある跤筋(kha-kinカァキン)=すじ肉
食堂の壁にかけられた加薦袋仔(ka-chì-tē-áka-chì-á) 
漁師の網で作られた手提げ袋


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