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わたしはげんき

 最近散歩にハマっている。春からフリーターなのもあってとにかくお金を節約したいのとか、春だからとか、城戸さんの散歩の記事を読んで影響されたとか色々あって。あと、ワイヤレスイヤホンを買った。流行りのピスタチオカラーで、薄い緑系の色が好きな私は買うしかなかった。商品名的にはミントグリーンらしいけどそんなわけない、青みが足りない。緑ソムリエを舐めないでほしい。
 しかしそんなんは気にならないくらいとにかく可愛い。丸っこいケースはすべすべで、蓋が閉まる時のぱちっという音が耳に心地よく、本体を起動させると白いライトがゆっくり光るのが生きているみたいで愛おしい。重低音もしっかり聞こえるし装着するとまるで体の一部のようなフィット感、すべてが完璧で、このイヤホンをして好きな音楽を聴きながらずんずん歩いていると最強の気持ちになれる。
 加えて、私は自分が外を歩いている時に、その時の気持ちや天気、風景にぴたりとあった音楽を選んで再生するのが大得意なのである!さながら自分専属のDJといったところ。

 というわけで、3月にあった最高の散歩の記録をいくつか紹介したいと思う。紹介というかまあ自慢なんだけど。自慢というよりは記録なんだけど。なんでもいいか。

 まずは友達が衣装スタッフとして関わっていた演劇を観に行った日。会場となる大学はかなりの郊外、いわゆるベッドタウンというか、駅から離れると丘陵に団地しかなかった。あまりにも同じ造りの建物ばかりが並ぶ様はちょっと近未来みたいだ。
 アホのように晴れていて、こんな日は散歩しなくちゃ始まらないとばかりに駅から大学までと、大学から駅までを散歩した。団地の間の小さい広場を通り抜けたら婦人服屋さんの前でフリマみたいなのをやっていた。服や靴、本やCDをありえない安さで叩き売っていて、ちょうど大学の卒業式に履いていく靴を探していたのでなんとなくのぞいてみた。
 黒くて優雅な形で、ストラップにパールがついたパンプスが目に留まり、400円だったので買った。青みがかった緑の薄いブルゾンも300円だったので買った。あとから着てみて気づいたけどめっちゃ作業員だった。古風なてろっとした生地のワンピースも、ボタンが可愛くて買った。400円。しめて1100円也。豪遊。
 サウンドクラウドでお気に入りの曲を再生して闊歩するこの上ない昼さがり。
 車道を薄紫の風船がふらふらと漂っていて、目で追っていたら自転車で通りかかった子供たちが風船を轢いて、風船は割れる時に乾いた音をひびかせた。

あまりにも作業員すぎると話題のアウター。色はバリ可愛いがポケットがない。不便。


 また別の日は、用事があって都心の方に行った。高い塔の麓から一駅歩いて、喫茶店でたまごサンドを食べたらものすごくいろんな味がして美味しかった。パンがしっとりふわふわで、中の卵焼きもふわふわで出汁が効いていて、パンに塗ってあるバターとマスタードの味もした。レタスもシャキシャキだった。一つの食べ物からこんなに複雑な味を感じることが新鮮でおもしろかった。私って生まれたてなのかな?今までの私はなにを食べていたんだろう。
 たまごサンドのおかげで元気が出たので、めっちゃ歩くことにした。三月のライオンがどうしても観たくて大学の視聴覚室に行ったら貸し出しをしておらず、あと1時間くらいで閉館だったので諦めて家まで歩く。4年間毎朝夕バスで30分ほど揺られていた最寄駅まで、歩いて1時間くらい。ちょうどYUKIのファーストアルバムを聴き終わるくらい。
 途中で思い立って、セブンイレブンで冬の間売っていたふわふわ系ホットスナック(マーラカオ、たまご蒸しパンなど)がどの程度生き残っているのか調査することにした。Googleマップを頼りに、経路にあるセブンイレブンに立ち寄ってホットスナックのケースを透かし見て、ふわふわのシルエットを認めたら買う、なさそうならあっさり立ち去ると決めて七軒のセブンをまわり、ふわふわを確認できたのは一軒だけだった。滅びゆく種族…。

 気づいたけど、散歩、何も起こってないけど楽しすぎて永遠に書いてられるからキリがない。だからこのへんで渋々切り上げるけど、とにかく最高。知らない景色と好きな音楽が組み合わされば無限に幸せになれるんだから安上がりなものです。

 私の耳を塞いでくれてありがとう。また一緒に歩いていこうね。

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