ビジネスとしてのAI導入       ごく初歩的な成否の分かれ道


こんにちは!アダコテックの池田です。
アダコテックは主に製造業の企業さま向けに異常検知AIを提供しています。
世の中でAI(機械学習)の活用がわりと一般的なことになってきたここ最近であっても、「なんだ、AIなんてこんなもんか」、「すごく成果があった!AI無しにはもう戻れない!」とかなり賛否両論なので、つたないながらも経験したことをまとめてみました。
     ※ここではAI(機械学習)のすべてを語るものではありません。
      プロジェクトや、ビジネスの中での限られた範囲のお話です。


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ほんとうに万能だと思ってる・・・?
ごくまれにですが、今でも「AI=なんでもできる万能な〇〇」と捉えている人がいらっしゃいます。ご本人にはその自覚がなくても、突き詰めると万能性、汎用性をちがう言い方に言い換えているだけのこともあり、そういう場合は正しいご理解をいただくまでに、ちょっと骨が折れます。

ここでAIの部分を人間に置き換えてみましょう。
「人間=万能」と置き換えた場合に、若干違和感のある表現になりますが、ある程度はそうかも、と言えなくもない。
ただ、あなたは人間だから、といってそれをそのまま「あなた=万能」とはできないように、AI(機械学習)にも同じロジックがあてはまります。
AI(機械学習)も個別には万能ではないのです。


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(1)そもそも用途別に使うもの
コンピュータがオフィスに普及しはじめる頃、「人の何人分も仕事する!」「雇用が奪われる!」「劇的な人員削減が!」という話が出回ってました。実際、置き換えられた仕事も少なくないですが、そのぶん新しい業務が生み出され、現在でもやっぱり大人手不足は続いています。
コンピュータが普及したからといってヒトが仕事からあぶれる、なんてことにはならなかったわけです。

当時「オフィス・コンピューター」とおおざっぱに呼ばれていたPC(で処理する「業務システム」)ですが、今でもPCという「箱」自体が仕事してるとか、概念の集合体のような万能の「コンピューター・システム」が存在すると考えている人は少ないのではないでしょうか?
経理、営業、人事など、用途に応じたそれぞれのシーンでは圧倒的に高性能で優秀な業務システムが登場して、多くのオフィスワーカーの業務を代替してきました。
今、AIもそのような用途別の存在に向けて居場所を探っている状況なんだと思います。

洗濯機用のコンピューター(システム)がご飯を炊けないように、自動運転するAIにとってもご飯を炊くことはできません。
ものすごく高性能な「顔認証」は、「顔認証」だけに特化しているので高性能ですが、他の用途にはほぼまったく使えないです。
(犬の顔認証に使ってみたら?とか、ちょっとトリッキーな可能性はあるのかもしれません)
それぞれの向き不向きを理解して、適材適所で使ってまいりましょう!


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(2)まずは一回やってみる
課題を解決することは何においても大事なことです。それが公式の経営課題だったり、長年の懸案事項だったり、時には社長の直轄プロジェクトだったりするとなおさらです。
ただ、自分自身では一回も解決に向けたトライをしないままスグに「業者」を呼んでしまうことがあるようです。
その場合、
①どれだけ困難な課題かが実感としてわからない
②結果、「業者」の見積もりの良し悪しを判断できない
③往々にして、どうなったらOKとするのかがあいまいになる
といった弊害があります。
そのため、内部の人達だけでもいいので「一度やってみる」ことをおすすめします。そうすると、
④99.9999%を追究しすぎてコストパフォーマンスが合わない
⑤ゴールが誰かのフィーリングに依存して定量的でない
といった悲しい事態を未然に防げる可能性を高められるはずです。


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(3)完成形を理解する
AI(機械学習)は完成したタイミング以降も、成長したり、変化に合わせたり、姿かたちを変えることがあります。
「さあ、これで完成!」と思っていたら、言ったそばから姿を変え始める。でも、そうやって変化すること自体が完成形だったりするのです。
そのため、これまでのシステムのように完成形を目標・最終地点に定めて、逆算して線表を引いたり、マイルストーンを定めたり、といったセオリーが通用しません。
それでも、「最終的にここまでできたらベスト」とか、「最低限、ここまでできるようになってないと業務上ダメ」といった、完成とみなすための譲れない構成要素は洗い出しておくべきです。
その時に役に立つのが、上記「(2)まずは一回やってみる」です。
ご自分(たち)で実感しているぶん、各課題と、その解決の困難さ度合いも実感を伴って理解できますから。


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(4)変化は避けられない
AI(機械学習)の部分だけ完成しても終わりにはなりません。
業務全体のシステムフローや、人間側の仕組み、新しい業務(AI)を担当する人と、これまでの業務を今後しなくてよくなる人など、余波の及ぶ領域はたくさんあります。
これはつまり、抵抗勢力さまが団体でご到着~♪となるわけです。

その結果、AI(機械学習)化プロジェクトそのものがスローダウン、などという事例はいくつも目にしてきました。
でも、この時代、あなたや、あなたの会社が現状を継続している間に他の会社はドンドン先に進みます。
世界中が先に進みます。
技術革新の荒波は積極的に乗りこなす(失敗は糧にする限りムダにはなりません)以外は飲み込まれるしかありません。
であれば、1度の失敗も許さないと言われていない限りは、ぜひ積極的にチャレンジを進めましょう!

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