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たまたまですよ

きのう、電車に乗って京都へ行ってきた。
気まぐれにぶらりと出かけたのだ。

患者の住む大阪も暑いけど、
京都も残暑が厳しい。
あちこち歩き回って、疲労困憊。
もう歩けなくなった患者は、
アイスコーヒーで元気を注入する。

なんとか元気を振り絞って、
三条駅をめざして店を出た、その時。
向こうから歩いてくる女子に、見覚えが‥‥
それは、前のシゴト仲間Mちゃんだった。

とってつけたような「バッタリ」っぷりに
ふたりして「えぇぇぇっ?!」と叫んだ。

「ちょっとちょっと、どういうこと?」などと
口走りながらお互いに取り乱し、
「とりあえず、落ち着こう」と
目の前にあった小川珈琲へ、一緒に入った。
さっきアイスコーヒー飲んだばかりの患者は
「こんなことってあるんやねぇ」
と何度も言いながら、今度は小川珈琲のコーヒーを
がぶがぶのんだ。

いまMちゃんは、京都の会社に勤めている。
今日は、いつもより仕事が早く終わったそうで
こんなこと珍しいから、寄り道している途中
だったんだって。

Mちゃんは京都在住だ。
オレたちが勤めていた会社は大阪にあった。
彼女は毎日、京都から
大阪へ通っていたことになる。
(ちなみに患者も、しばらく京都の実家から通っていた)

Mちゃんは会社に8年勤めて、
なぜか患者と同じ日に退職した。
「一緒にやめよう」と約束したわけではない。
でもアレがナニして、結果、たまたま
退職日が同じになった。

誰かが会社を辞めるというのは、大ごとだ。
それも、同じ部署から2人同時というのも、
珍しい出来事だったと思う。
同じチームで、毎日たくさんの時間を共に過ごし
家族のように仲良くしてもらったMちゃん。
そんなこんなで、いまは毎日どころか
なかなか会うことはなくなっていた。

彼女との「たまたま」エピソードは、もうひとつある。

Mちゃんが8年前に会社へやってくる
さらにその前。
彼女は別の職場で働いていたのだけれど。
そこはマンションの一室だったと、
教えてくれたことがあって。

「へーえ、それどこだったの?」と聞いたら、
患者のよく知っている町の名前が登場した。
その町は、オイラの新婚時代に住んでいた町だった。
(注意:ほどなくして離婚しました)
俄然、オレたちはご当地ネタで盛り上がりだした。

結果、たどり着いた答え。
彼女が毎日通っていたマンションに、
オイラは毎日帰っていた。
つまり、彼女が働いていた場所=患者が住んでいた場所
という式が導き出されたのだった。

時期がかぶっていたようなので、
ひょっとしたら、エレベーターで一緒になっていた
かもしれない。


生きていると、理屈で説明しきれないことが
起こるもの。
まあ、それもこれも「たまたま」なんだけど。
偶然というよりは、運命なんだと思うほうが、
人生おもしろいんじゃないでしょうか。

こういうことって、あるんだよねぇ。