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患者のくらし

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日々の生活のようすについて書いた記事です。だいたいがドジ話。
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#抗がん剤

何分の一かの、純情な感情

「失礼します!こんにちはー」 元気よく挨拶したものの、診察室は騒然としていた。 すでに診察を済ませた別の患者さんが、 院内で具合を悪くして転倒したらしい。 クラークと呼ばれる事務員さんが、 慌てふためいて説明している。 エリィ「ありゃりゃ..だ、大丈夫ですかね..」 どうしよう。出直したほうがいいかな。 主治医はクラークさんの話が終わると 振り返って、こちらを向いた。 まったくもって落ち着いた表情で、 何事もなかったかのように話し始める。 主治医「どうですか?熱はあ

おいしい野菜が恋しくて

「食べ過ぎる」とか、「食べられない」とか、「普通にしてるのに太る(or痩せる)」とか。がんを患うと、なかなかそのあたりのコントロールって難しい。 患者はいま、休薬期間が予定より長くなって食欲が戻ってきた。食欲がないときは「食べたいときに食べたいものを」というナースの常套句をしっかり守り、炭水化物ばっかり食べてかなり偏っていた。いまこそ、食生活を整えておこうじゃないか。そこで、以前お世話になっていた「野菜のお取り寄せ」の復活を検討していた。 オイシックスとか、大地を守る会と

冷えてはいけない患者の、猛暑日のおたのしみ

「冷たい」という言語は、人によって違った表現になる。 患者は「ちべたい」と表すことが多い。 方言かなと思ってGoogle先生に訊いてみたら、 京都も大阪も「ひやこい」と指導された。 とにかく。 患者は冷えやすい体質に加え、 副作用の骨髄抑制により白血球が少なく、 すぐに腹をこわすのが日常だ。 ちべたいもの、ひやこいものは なるべく避ける生活をしている。 毎日、腹巻きは欠かせない。 腹巻きは冬より夏なんですよ、奥さん! なるべく白湯を飲むようにしているし なまものを食べると

熱中症にご用心

ミスチルのライブで、考えられないくらい汗をかいた翌日のこと。患者はとにかく安静にしていた。昨夜は蒸し暑い京セラドームで、踊り歌い叫んでいた。勢いで買ったツアータオルは汗でびっしょり。今日はもう、なんの力も湧いてこない。疲れた疲れた。 ゆっくりと8時くらいに起きてきて、午前中は家事をするなど機嫌よく過ごしていた。お昼ご飯を食べたくらいから、なんだか雲行きが怪しい。体がだるくておなかが緩い気がする。あと、手足が異様に熱をもっている。なんか顔もかカッカしてきた。そのうち、頭が痛く

20170619診察日記その2

その1はこちら なんとか治療の道は、ぎりぎり繋がったようだ。先のことは全然未定だけれど、来週から3クール目の抗がん剤が投与される。 今の薬‥パクリタキセル(+アバスチン)は、4週が1クールだ。3投1休(週に1度を連続3回、4週目が休み)がきほん。ただ患者の場合、体がくらうダメージがでかすぎる。白血球問題が勃発し、たちまち生命体として危うい状態を迎えかねない。そこで、先生は隔週での投与を提案した。この場合2投2休っていうのかしら? 1週目と3週目に薬を入れる。2週間たっぷ

調整がむずかしい

木曜日、入浴前に体重を量った。 これまでの患者人生、夏場は痩せないように気を付けていたつもり。患者の身長は151cm(脊椎の具合で流動的)なのだけど、うっかり36キロまで落ちた経験がある。ましてや今は抗がん剤治療中。副作用で食欲がなくなるから痩せやすいのだ。 ところが、先日の診察で諸事情により休薬することになった。たちまち食欲が戻るから不思議だ。日常生活が戻ってきた幸せをかみしめる。 抗がん剤の投与量は、体重によって計算されるため、ふだんから体重は気にしているつもり。ち

夢のハーブボールナイト

嬉しい贈り物が届いた。東に住む友人が「タイフェス」のお土産を、西の患者へ送ってくれたのだ。オレはタイのものがとても好き。大阪にあるタイ料理屋さんへは、片手では足りない回数リピートしている。ああ、思い出しただけでヨダレが出てくる‥ ハーブボールのことは詳しく知らなかったけれど、どうやらとても美容と健康によいものらしい。数種類のハーブを布に包みこんである。蒸して体に当てたり、入浴剤として使ったりする。いろんな流派があるらしくて、タイでは病気の治療にも使われるとか。友人は、体調を