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はじめましてのご挨拶、長すぎるプロフ(7)

初日から鍵をもらう

 忘れもしないラーメン屋の初日です。客席は当たり前ですが、勝手知ったる馴染みのお店です。勝手知らないのはまさに裏口、勝手口から入るスタッフだけの扉と調理場です。
 決められた時間の15分前には店に到着、本店から来るという社員の方を待ちます。たしか言われた時間は午前9時だったかと。やってこられたのは、うーん、その当時どうだろう中堅の下くらいのポジションだったと思われる社員さんです。W氏と呼びましょう。W氏は鍵を開けて調理場に入ると、すかさず私に鍵を渡しました。そう、お店の鍵です。いやいや、ちょっと待ってください、いくらお客さんとしてそれなりに長い間のお付き合いでも初日にお店の鍵を預かれと言われても…。

馴れ初め


 このラーメン店は芸能マネの時にファンクラブの人から教えてもらったお店です。「凄く美味しい店があるんですよ」、その一言でご一緒させてもらうことに。なんでも飲み屋みたいにラーメン意外のおつまみも美味しくて最後にラーメンで〆るのがベストだと。
 強烈な豚骨臭で1番最初はどうにか食べるだけで精一杯だったと覚えています。しかしながら、2回、3回と食べるうちに中毒的な美味さに気付くのです。当時、まがい物のただ臭いだけの博多ラーメン店も結構ありました。匂いの割に旨味がないのです。
 しかしながら、ここは違い、独特のスープもさることながら、とにかく麺がウマい!! 店では博多から直送と謳っています。これは集客のための嘘ではなく、運送費などのコストが莫大に必要なのにも関わらず博多の製麺所から仕入れていたのです。
 小麦の香りがしっかりとする超低加水麺だからこそ感じられるポクポクとした食感と濃厚スープが堪らないハーモニーとなるのです。東京の製麺所で作ってもらった事もありますが、ただ細いだけの腰も味も薄い、弱い麺しか出来ませんでしたね。根幹が違う感じです。

 働けるとわかった時は、この味の秘密がやっとわかるぞと意気込んだものです。灼熱地獄が待ってると知らずに…。

 話を戻しますと、初日で全てを教えるから、次の日からはバイトと昼の営業をやってみてくれと、「出来ないものは売り切れにしちゃっていいよ」なんて言われて面食らってしまっていても、中堅社員の方は、どこ吹く風って態度でその日の勤務はあっと言う間に終了します。

 さて翌日、どうにか初対面の法政大の学生アルバイトさんと2人でランチ営業を切り抜けました。「まー、何とか出来るものだな」と変に自信をつけ、最終的には2年半ほどお世話になることになります。

 長くなるので、このラーメン店のお話は別の機会があれば、またご紹介したいと思います。この文章は一応長いプロフィールなので先に進むことにします(笑)。

(8)に続く。次は粉物です。


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