『カムカムエヴリバディ』第17回 岡山大空襲
るいとともに慎ましく生きる安子。しかし昭和20年(1945年)、6月29日の午前2時43分――岡山大空襲が襲ったのでした。
手抜き空襲
こんなに手抜きで酷い戦争描写はここ数年でもない! そう言いたくなると、
「せやろか? 『わろてんか』と『まんぷく』も大概やん」
という脳内ツッコミが入るから、その二作に感謝やで。
あの歳も、『カーネーション』や『ごちそうさん』のあとがこれかと嘆いたものですが。『スカーレット』と『おちょやん』のあとがこれかと思うと情けない。もうツッコミどころが多すぎて話に入っていかれへん。
まずな。あのナレーションのいちいちキメキメの喋り方なんとかならんか?
いや、ものすごい美声よ。美術館の音声案内を城田優さんがしてくれたら耳がとけるで。せやけどな、いちいちキレキレの美声はおかしいんよ。そら朝ドラナレーターはベテラン女優か女性アナウンサーが定番になるわ。ノイズになってかなわんのよ。
あと衣装の使い回しな。安子はいつまであの赤い毛糸ベスト着とるの?
そしてなによりも、空襲がショボい。
空襲といえば逃げ惑う人がおしあいへしあいになって、群衆雪崩による被害もある。それなのに写っているのはソーシャルディスタンスをとりながら避難するような絵。
炎も「最低限です!」と言いたげなチョロチョロさ。映画『魔界転生』のラストの方が派手ですよ。
そういう現場のしょぼさを、熱演で補おうというのか。若手俳優がこれみよがしに思ったことを全部絶叫し、ギャーギャー泣く。
いや……当時の人はあんなおおっぴらに感情出さんから。
ほんまに『おちょやん』のあとがコレかい!
『おちょやん』で、自暴自棄になって、闇市をふらっと歩く天海一平には胸がギュッと締め付けれましたよ。一人で道を歩き、セリフを暗唱する千代も。夫が戦死したあとのみつえも。
戦争で何もかも失い、それでも生きていかねばならず、どうしようもなくなった気持ち。そういうものを、戦争が終わったはるかあとに生まれた役者が演じる。それはもう素晴らしいものがあった。
今年はただのコスプレやろ。
誠意がないなら、戦争を描こうなんて思わんことやな。こんなもんただの侮辱やで。
悲恋の背景にあの戦争を使わんでくれ。朝っぱらから気分が悪いわ。
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