『虎に翼』第85回　それぞれの拠り所

　涼子と玉の話を聞いた稲は、潰れ合わないかと心配しています。ケアワークを担っていただけに、そこは鋭い。愛だけじゃ乗り切れないこともありますもんね。寅子もこれには同意しつつ、稲に切り出します。

拠り所を作っていこう

　いやでなければ、週に何度か、涼子たちを手伝って欲しいと。両立が厳しければ、寅子の手伝いはやめてよいと。稲はここにくるのが迷惑なのかと言います。むしろ逆で、寅子は甘えてしまうと言います。稲は甘えていいというものの、寅子はキッパリと言います。
　寅子と優未はいずれこの土地を去ると。寅子は優未が友達がいないと言った時から考えていたことがあるそうです。心の拠り所がひとつだと、関係が重過ぎて歪になっていく。失ったとき、なかなか立ち直れない。だから優未に拠り所をたくさん作って欲しかった。でもその拠り所は、友達でなくてもいい。そう悟りました。
　優未の担任教師や、話しかけてきた相手は、世間からどう見えるか気にしていたようにも思えます。とぼとぼ歩く転校生なんて、いかにも哀れですもんね。でも優未本人は気にしていないと。
　そこを踏まえて、寅子は周囲にもたくさんの拠り所を作って欲しいのだそうです。差し出がましいと謝ると、稲は年寄りのことを親身で考えてくださったとお礼を言います。寅子はさらに、優未に友達を作るよう促したことを謝ります。
　優未には拠り所がいっぱいあります。寅子に、猪爪家に、道男に、稲。お絵描き、料理、歌も好きなんだとか。ここで寅子が聞かせて欲しいといい、優未は『モン・パパ』を熱唱します。稲は週に二度、ライトハウスで働くこととなりました。

朝ドラが好きなの？　ハッシュタグが好きなの？

　この問答は刺さりましたよ。
　朝ドラを見ていても思うんですけど、朝ドラが好きなのか。朝ドラについてハッシュタグつけてポストするのが好きなのか？　わからんなぁ、と思っているんですよ。反省会も含めて。
　朝ドラそのものを楽しむより、投稿して、バズるのが目的の人いるじゃないですか。そういうのどうなんだろう。もう、タグで連帯すること。リポストといいねを見るのが楽しみになってんの。朝ドラだけでもないけど、そういう集団心理を刺激するSNSの功罪を我々は考えるべきかもしれませんね。

「涼子ちゃん」と呼ぶ喜び