見出し画像

『虎に翼』第53回 ファミリーコートが必要だ

 昭和23年(1948年)10月に、家庭裁判所を作る準備をせよと命じられた寅子。かなえれば念願の判事への道も開けます。
 ところが期限は来年だ。2ヶ月でできるの?
 しかも上司の変人多岐川はやる気があるように思えないし。少年審判所と家事審判所の話し合いは進まないわ。ほったて小屋じみた事務所は寒いわ。
 何気ない場面のようで、「家庭裁判所」という名前への疑念も入ります。そういえばそもそもなんで、家庭裁判所なのだろう? 当たり前のものがそうなる前の世界が続きます。

憶測と偏見

 多岐川は『東京ブギウギ』を口ずさみつつ、「愛しの香子ちゃん」のもとへ急いで帰ると言います。しかし彼は独身とのこと。小橋はどうせ若い女を囲っている、ああいうチョビ髭は大抵スケベだと言います。こういうことを言うやつこそスケベなんですよ。小橋は寅子と花岡も「男女の仲」だと勝手に思い込んでいたわけですし。憶測と偏見だと語りがここでつっこんでいます。
 明律三人組は、多岐川はやる気がないと愚痴をこぼしあっています。もしも家庭裁判所が成立しないなら、誰かが首を切られるという話題に。多岐川でなく、その下の立場がそうかもしれない。しかも、三人のうち寅子だけが判事ではない。寅子は危機感を覚えます。
 この仕事を失うわけにはいかない――そう動き出す寅子。無駄に猜疑心というか警戒心が強いんだよな。それこそあんなの小橋の憶測と偏見でしょ。責任感が強い寅子は、優三と花岡の思いを背負って多岐川へ突進します――ちょっとぉ! 誰かよねを呼んできてくれ! よねは、寅子が、勝手に独りよがりになって、背負った気になって猪突猛進しようとすると止めたんですよ。それでいいと思う。時折危ないって。

 寅子は西部劇じみた音楽を背負いつつ多岐川に向かい、家庭裁判所を作る意義をとき、さらに桂場との約束を持ち出します。寅子は人生がかかっていると言いだし、多岐川に「バカたれが!」とどやされます。確かにダメだよなね。そんな口約束に人生を書けたらいかん。
 多岐川はなんでもっと早く言わないかとしかりつけ、そんなモヤモヤを抱えて仕事したらいかんという。そのうえで、「これだから今時の若いモンは!」と叱り飛ばします。性別は持ち出しませんね。それでも立ち止まり、モヤモヤを言いにくる度胸をかいます。そして汐見を先に帰らせ、寅子をどこかへ連れて行きます。

ファミリーコート創設の理念

ここから先は

2,518字

朝ドラメモ

¥300 / 月 初月無料

朝ドラについてメモ。

よろしければご支援よろしくお願いします。ライターとして、あなたの力が必要です!