『おかえりモネ』第45回 誰かを守るために旅立つ

 うまい牡蠣にうまい日本酒! すっかりできあがったモネは酔っ払い、祖父に抱きつき、倒れ込んでしまいます。そしてこたつで寝ることに。
 家族たちは何かあったのかと気にしています。サヤカから龍己には何も言ってきてはいないらしい。
 そしてモネはやっと起き上がり、話始めます。

島を離れたい理由

 東京へ行く。
 起床の仕事をしたい。行くならちゃんと話をしてこいと、サヤカさんに言われた。
 そう切り出し、島を離れたい理由を語るのです。
 震災のとき、島にいなかったモネ。一番大切な人たちと、大変な時、一緒にいられなかった。亜哉子は自分もそうだと言いますが、お母さんは小学生を守っていたとモネは返します。
 龍己は船にいて、海が燃えているから近づけなくて。
 未知はおばあちゃんと一緒に避難所へ逃げて。
 やっと避難所でみーちゃんと会えてうれしかったけど、本当にうれしかったけど。何かがもう、ちがった。あの数日間で、私とみんなは見たものも、経験も、ちがう。
 そのことがうしろめたさになって、胸にたまって、ずっと苦しかった。
 私、何してたのって。あの時何もできなかった。そんな思いが抜けない。ともかく島をでたい。
 でも今は、自分にもできることがあるかもしれないって。
 気象は未来がわかる。
 未来を予測できる! 誰かが危ない目にあうのを止められる。そんなの無理かもしれないけれど、でも、こおの気象予報で誰かを守ることができるかもしれない。私はやってみたい!
 大切なものをなくして、傷つく人はもう見たくない!

家族は送り出す

 そう思いの丈を語るモネ。
「わかりました」
 家族はそう返すしかありません。彼女の決意はわかった。それに幼い頃から意思強固なのでしょう。
 住むところどうすんだ、どこさ就職すんだ! そういう疑問は山ほどあるけど、まずは認めないとさ。

 楽器を持っていくかと聞く耕治に、モネは耕治手作りのあの変な音の笛でいいと返します。そんな娘に、耕治は気持ちがわかるという。娘の気持ちが一番わかると思っている父親ほど愚かなものはないという、サヤカの言葉も引っ張ってきますけどね。
 おちゃらけているけど、それはそうでしょう。耕治も新次を救えなかった。その無念を理解できるのは、ある意味彼だけかもしれない。
 龍己はサヤカへのお礼をするべく、達筆の手紙を書く。小道具さんがいい仕事をしています。未知はそんな祖父とともにいる。
 耕治と亜哉子はこう話しています。
「あの子はもう、島に帰ってこないかもしれないな」
「そうね」
 それはそれでいい。そう見送る両親です。娘の意思を知っていて、かつ彼女を手放して生きていく姿を見守る。そんな親です。『おちょやん』の父と娘と比べてみましょう。個人の問題というより、一世紀ほどで人間はここまで進化したんです。

登米の皆も送り出す

 森林組合で、モネは菅波に別れを告げています。でも菅波先生とは会えるかも……そう言うモネに、東京の人口は1300万人、ばったり会えるというのは甘い考えだとキッパリ返す菅波。
 川久保たちが最後までそうかとここで突っ込みつつ、出てきます。お手製の見送りボードに、プレゼント! そして米を送ると言い切る! 森林組合に愛されています。

 モネはサヤカにも別れを告げに行きます。
「行くの? 送らないよ。ほら見て、空が広ぐなったよ」
 あのヒバを切り、日光が届くようになりました。木材が乾き、またここにいい木が育つのだと。そんなサヤカに、モネはこう告げます。
「行ってきます」
「はいよ、行っといで」
 モネは去り際に、十分後に空を見るよう言い残し、去るのでした。
 サヤカは足元にある、伸び始めたヒバの芽を見ます。感極まった様子のサヤカ。そして空を見上げると、雲の向こうで輝く太陽がありました。
 山の神様。海の神様。空の神様でもいい。
 どうかあの子に、よい未来を。
 そんなサヤカの願いを受けて、モネは旅立ちます。

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