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『ちむどんどん』第88回 話が通じなくとも

 良子と賢秀は、妹・暢子のために人肌脱ごうと決意を固め、青柳家を目指します。

歌子は良識枠なのか?

 流石に躊躇する良子はうたこに電話で判断を仰ぎます。ネーネーが行かないならニーニーが行く。ならば行くしかない! そうアドバイスをする歌子は良識枠のようで、謎のテープをお土産に咥えるよう念押ししていて、何かあやしい。沖縄民謡か? それとも何かの語りか? 気になりますね。

 良子のお土産はなんだかんだでいいと思う。カラキは知らんかった。別名沖縄シナモンだけに、重子の口に合うかもよ。気になるなぁ。

話が通じないことが大事なので

 良子も賢秀もひたすら騒いでいるだけのような、ドタバタの15分間。そう分厚いコメディでくるんでおいて、かなり大事なんじゃないかと思えました。

・三郎がアッサリ解決した云々
先週の最終日で、三郎があっさり快刀乱麻を断つように解決しました。あれが納得いかないという意見はありましたけど、じゃあこういうゴタゴタならご満足いただけましたか?

・沖縄の儒教道徳
このドラマを見ていると、沖縄はいろいろ意味で別のルーツだと思えてきます。感覚が日本でもなく、中国でもなく……ちょっと華流ドラマを見ているような気がします。今回のこのコンビが武侠トラブルメーカーらしいということだけでもなく、道徳心が。
母を貶すことだけは絶対許さん! そう良子は啖呵を切ってしまう。こういうのは儒教道徳のよいところでは? その一方で賢秀の長男を敬え! はしつこい。これは儒教のマイナス面。

・母への愛
おばぁが石川家の問題解決をしたことは伏線かもしれない。圧倒的な母への愛を、この育て間違ったとしか思えない兄と妹は見せてくる。それは重子が渇望するものでは? 
 
 それを探るために、波子の意見もあり、重子は披露宴に行く……ということかもしれない。

嫌われる勇気

 重子は、我が子を人様に迷惑かけなように育ててきた。その一方であっちの母親はなんなの! こんなどうしようもない人間のクズを育てて……でも、母としての愛はこちらにある。
 嗚呼、どういうことなの! 誰かに好かれよう、嫌われないよう、自分を押し殺して生きてきたのに、最愛の我が子にすら好かれない。そんな日本人女性にかけられきた良妻賢母の呪いが、重子を苦しめているんでしょうね。
 それを演じる鈴木保奈美さんがやっぱり素敵です。あの大ぶりのイヤリングなんかもさ。首の皺まで愛おしいというか。朝ドラのよさって、こういう女優の階段を登る姿が見られるところかも。仲間由紀恵さんといい、よい役をもらいました。

 専属メイク係をつけられて、無理矢理18を演じさせるのって、ベテラン女優を尊重するふりをした破滅への案内でしょう。そういう残酷劇は朝から見たくないので。

 竜星涼さんなんかにも「あんな嫌われる役でかわいそー! 特撮で好きになったのに」みたいな意見ありますけどね。憎まれ役を演じることもキャリアのプラスになるんですよ。『今そこにある危機とぼくの好感度について』という傑作ドラマがありましたっけ。嫌われる勇気がないと、当たり障りのない意見しか言えない、空虚な人形だけが残ります。

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