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漫画やゲームで歴史の勉強はできるのか?『ヘタリア』から考える

 漫画やゲームで歴史の勉強はできるのか?
 これについては、なんとも言えません。『信長の野望』や『三国志』を契機にして、研究者になった方はおられます。入り口は、得てしてフィクションが多いもの。そこは否定しません。

 けれども、結論から言いますと、どんな刃だろうと研がなければ錆びます。これは学校の勉強なり、司馬遼太郎読書も同じことであり、最新の研究を追いかけなければそれまでのことなのです。
 そういう弊害は出ていて、研究者が司馬遼太郎読書体験をもとにした質問を受けるということが、しばしばあるわけではないですか。

世界史の勉強を漫画でするにせよ

 そう言っても、司馬遼太郎は昭和でしょう? 漫画やゲームなら、別じゃないの?
 お気づきになりましたか。格好の記事があったので、参照してみました。

『ヘタリア』オタクは今でも世界史に詳しいのか?センター試験過去問で検証してみた - 趣味女子を応援するメディア「めるも」 https://news.merumo.ne.jp/article/genre/10076639

 どうにも、令和2年で得点が落ちているようですが。

 ここははっきりと認識した方がよろしいのかもしれません。近年、歴史学にも明確な流れができてきている。最新のそういう研究をバリバリと読んでいかないと、実は追いつかないのです。過去に仕入れた知識だけでは、解けない問題はこれからどんどん増えてゆくことでしょう。
 漫画なりゲームで得た知識も、磨かなければそれまでのことなのです。令和2年度が突発的にたまたま悪いのではなくて、今後も下落傾向は続く可能性が高い。OSにせよ、脳にせよ。それは同じことです。

 そして、こういうYahoo!ニュースを見てもその傾向はみて取れる。

突如トレンド1位の「ヘタリア」とは? 長年のヒット漫画「再始動」宣言にファンはソワソワ(J-CASTニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3772c5c11897fcb25b2f30db8fa1b1a2fcc2211d
楽しみだ。
いろいろと問題視する意見もあるけど、記事にもあるように、この作品に出会ったことで視野が広がった人たちは多いと思う。
海外ニュースなんて見ない人たちが真剣に国際問題を調べるようになったり、歴史問題を考えたり、日本とは関わりのない国の平和を願ったりしてた。
良いきっかけになる作品だと思うよ。

 こういうコメントがありますが、ええ、そうです。フィクションは学ぶきっかけを与えてくれると。問題は、そこから掘り下げるかどうか。図書館に行って片っ端からそのへんの本を読み漁り、大学でそちらを専攻して……みたいなのであればよいとは思いますが。
 うまいカレーを食べた。それ以来、レトルトをよく食べています。
 うまいカレーを食べた。それ以来、ハマってカレーをスパイスから作ることになった。
 これでは、全然違うのです。

 問題は、掘り下げる系がキャラ萌えとか、その方面だけで止まったら、別に知識は深まりません。
 早速このニュースにもこういう掘り下げコメントがついていますが。

たしかある国を擬人化した際に、凄いクレームがきて心が折れたんじゃなかったっけ?まあ、どこの国かはいいませんが。ヒントを書くだけですぐ削除されちゃうマスコミが大好きなあの国です!

 こんなの、レイシズム方面に掘り下げたことがバレバレじゃないですか。
 いわゆる二次元のファンは、『北斗の拳』にハマっても人を吹っ飛ばしていないとか、『ONE PIECE』にハマっても海賊になっていないと自己弁護します。けれども、そもそも北斗神拳は実在しない。帆船の用意ができるわけもない。そういう“できない”と“やらない”の区別を曖昧にしたまま、おちょくり続けるのはかえって信頼性を落とすだけではありませんか? それに今更そんな使い古されたことを言われたところで、何もおもしろいことはありません。まっとうな責任ある大人の言い草とも思えません。
 それにこれは二次元だけの問題でもない。彼らの親世代は司馬遼太郎や大河ドラマを史実と思い込み、いろいろ弊害があるわけでして。
 『ヘタリア』を読んだ結果、特定の民族へのヘイトと偏見を身につけたのであれば、確実に悪影響を受けています。


 『ヘタリア』と、本物のナチスであるストームフロントを問題提起として、ユダヤ人の血を引く役者に演じさせた『ザ・ボーイズ』では何か違うものがあるのではないですか?

 なんでこんな嫌みたらしいことを書くか? 繰り返すか? 嫌われるとさんざん言われる。でも、私には使命感があるのです。

 というのも、外国の方とやりとりをしていると、日本人の歴史観の危うさが感じられてきて、辛いものがある。ゆえに、嫌われることは重々承知で指摘したいのです。

 私は仕事柄、近現代史を扱うNHKドラマの歴史観に疑念があって、嫌な予感がしていたのですが。やはり、そういう予感が的中してきているのではないですか? だからこういう記事もあるわけです。

SNSで揺らぐ平和意識 戦争容認、簡単に「いいね」:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65424360U0A021C2CE0000/

 せっかく盛り上がっているところで申し訳ありませんが、再開後の『ヘタリア』は暗礁に乗り上げる――と、予測しておきます。間に合う関係者がいるのであれば、こんな赤壁の前でつなげちゃった船からは、逃げた方がよいでしょう。それはファンも同じです。

 BLM時代に、マジョリティ男性が国を擬人化するという時点で、もう駄目であるとどうしてわからないのですか?
 ハッキリ言いますが、こんなものは保毛尾田保毛男だの、『ガキ使』ブラックフェイスと大差ありませんよ。

ガキ使「ブラックフェイス」問題は歴史アプローチでコトの本質が見えてくる https://bushoojapan.com/world/2018/01/12/108866 


 なんで漫画展が大英博物館で開催されたとき、『ゴールデンカムイ』のアシリパがポスターに使われたか想像できます? 美少女萌え〜じゃないでしょうよ。アイヌだから。先住民族を描いたから。そういうことだと思いますが。そのへん考えていかないと。

「ガキ使」浜田雅功の黒塗りメイク BBCやNYタイムズはどう報じた? https://www.huffingtonpost.jp/2018/01/05/gakitsuka-black-face-bbc-nytimes_a_23325586/

 こういうことをやられると、日本人全体の歴史観に疑念が抱かれるので、勘弁していただきたい。だいたい、枢軸国として同盟を組んだ相手を「ヘタレ」呼ばわりしている時点で、恩義がないにもほどがある。戦場でパスタゆでただの、イタリア軍が弱い話の真偽もどうなのでしょうね。イタリアは歴史をたどれば、軍隊が強くなれない要素はある。けれども、そういうことは国民性と軽々しく結びつけてよい話ではない。往々にして差別的な背景も関わってくるので、まっとうな感覚の持ち主ならそうおいそれとは言いません。

「『ヘタリア』くらいで発狂するなら、ポーランドボールなんか見たらどうなるのw」
「もっとひどい差別コンテンツもあるよ! 差別助長するのはこれだけじゃないよ!」

 ですから、そこは承知しています。ポーランドボールなんて、本来そう軽々しく扱えるわけでもない。ましてや、まっとうな大人ならば「ポーランドボールで歴史を勉強した!」なんておおっぴらにできませんから。

 例えばフランス軍を罵倒するあの言葉なんて、知識としては私も知っているし、どういう歴史背景かくらいわかりますけど……気軽に言っていいものじゃないでしょうよ。

 それにしても、それで気づきましたが。『ヘタリア』ね。フランス擬人化して金髪碧眼という時点でもう……これで、真面目に世界史勉強したと言えるのか……。
 『ベルサイユのばら』のオスカルが、珍しいがゆえの金髪美形設定フランス人だったのとはまた別の話ってもんでして。
 海外では、日本人の妙なガイジン像はとっくにお笑いのネタです。海外の『ヘタリア』ファンは、それもひっくるめて愛してくれる少数派だと自覚しましょう(本物の若者と多数派はとっくにBTSファンになってる……)。結構な割合でオルト・ライトもいそうですけどね。オルト・ライトスターターパックに萌えグッズ入る時点で、私はいたたまれないものがあったんですよ。

色白金髪ならば君はアメリカ人だ:格闘ゲームに登場する“ステレオタイプ”なアメリカ人ファイターのデザイン6選! https://doope.jp/2011/0719169.html
今や保守主流派と一体化したオルト・ライト https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2018/11/post-15.php

対処を考える

 じゃ、ここからが本題です。
 『ヘタリア』再開に苦言を呈したところ、絡まれたら? どうすればよいか?

 まずは、基本です。彼を知り己を知れば百戦殆からず――相手のことを知る。そんなことしてられない気持ちはよくわかりますので、私が調査しました。

◆若くはない。ボリュームゾーンは30代から50代
昔読んでたけどもうこんな歳だよ! そういう気持ちがある。懐かしコンテンツです。昭和を生きた彼らの親世代は、それを司馬遼太郎や大河ドラマでしていたんですけどね。そういう中高年マインドに突っ込んでいるけど、なぜか二次元だとそれを認められないのです。

ついでにいうと、彼らの世代には親世代への反発と逆張りから「戦争にもいいことあったよね!」「ヒトラーが悪い人って言い切れるの?」とすぐに言いたがる価値観がある。いいかげん、自分たちが親の世代になったら卒業してほしい価値観なのですが、どういうわけかそうなっていない。全員がそうだとはいいませんが、多いからこそ、そういう価値観がうっすらと蔓延するのです。
逆張り由来だから、確固たる歴史認識は、実はさほどない。気合の入った本気の保守とは違うのです。我が子に苦労を味合わせまいと反戦を説いた親世代はダサい。そういう反発心由来が大きい。そしてクラウゼヴィッツじゃないほうの『戦争論』だ。そう、これは若者の問題じゃない。歴史修正主義と価値観の問題であり、中高年クライシスです。
その下の世代で『ヘタリア』が好きだというのであれば、こういう世代に心理的影響を受けているので、実質仲間です。

◆世界史知識があるようで、そこまで深くない。近年の傾向を踏まえていない可能性は高い
仕事も忙しいし、ネット依存が強いので、まとめサイトや動画で学んでしまうのです。しかも、ネットスラングに強い自分は“情強www”と思っているから、危機意識も実はそんなに芽生えないと。

◆「ネタにマジレスw」と言い張ってきた傾向があるので、実は議論がそこまで得意でもない
実質、逃亡スキルしかない冒険者状態なんですけどね。逃げ道を塞ぎ、仲間とともに挑めば、割と簡単に勝てると思いますよ。負けを認めない可能性は十分ありますが。

◆英語力はじめ外国語能力はそこまで高くないようだ
けれども、オタクコンテンツが世界制覇した1990年代までの気分が抜けないので、いろいろやらかします。海外の情報やコンテンツもそこまで詳しくはない。『ザ・ボーイズ』ネタでガンガン殴れますよ!

◆しゃあない。忙しいもん……
仕事。アニメを追う。昔なつかしネタで盛り上がる。ソシャゲ。いろいろ忙しいんだ、勉強している暇もないんだ。

◆そこまで確固たる意識がなく、執着心から攻撃しているだけ
好きなものを貶されて、カッとなって反射的に殴り返してくるから、ガチガチに理論武装していない可能性は高い。快不快で語っているのです。

◆それでも良心は捨てきっていないかもしれない
とはいえ、人間はそこまで邪悪にもなれんのです。良心のかけらがあれば、そこを狙いましょう。
相手が女性ならば「性差別には厳しいのに、人種差別には疎いんですね」とふってみるとよいかも!
この年代は、労働問題やブラック企業には嫌悪感があります。そういう正義感があるのに、これはよいのかという方向に煽ってみましょう。

 こういう傾向を見て取れます。そこを的確に刺激すれば、ボロを曝け出す確率は高いでしょう。
 私自身はそのあたり無頓着なので、投げていますが。
 こういうことをやりすぎると、性格が悪いと思われるので、ほどほどにしましょう!
 はい、敵の分析はこのへんにして。想定問答でも! 

想定問答

 これに反論は想像がつくので、反論を踏まえて、どう反撃するか。傾向と対策をまとめたいと思います。なお、個人的な好悪は一切抜きにします。『ヘタリア』そのものははっきり言ってどうでもいい。前提からして避けてきましたし、ファンからは嫌な目にあったものですが、そういう恨みつらみはとりあえず封印します。

◆この作品に出会ったことで視野が広がった人たちは多いと思う! だからいい!
→具体的に何人いるのか、そういうデータはあるのですか? そのうえで、視野が広がった結果がプラスであるという検証はしましたか?
前述のYahoo!ニュースのように、レイシズムコメントが即座につく。Yahoo!ニュースそのものがそういう傾向が強いことは確かですけれども。
そして、海外ではYahoo!ニュースが日本人の意見として参照されることが多いときている。
そういう諸々を踏まえて、『ヘタリア』はよい作品だと断言できますか?

→へえ、そうなんですか。じゃあ具体的に、あなたがここ一ヶ月で読んだ世界史関連書籍をあげていただけますか?
(この質問、汚い罠っちゃそうですが……相手との関係が壊れていいなら、ご自由にどうぞ)

◆ただの漫画だし……
→グローバルな好評意見は針小棒大になるほど取り上げ、批判意見にはこういうことを言う。それはダブルスタンダードではありませんか?

◆海外にも不謹慎なコンテンツはある!
→2020年、『ヘタリア』を肯定的に見る層は、とっくにおちょくられてます。Amazonプライムの『ザ・ボーイズ』な! あれは無邪気に差別をモリモリと肯定して、ネタとして消化したがっているホームランダーやストームフロントが倒される側として描かれている。
こういう時ひきあいに出される『サウスパーク』だって、作り手はトランプ時代以降スタンスを変えていっています。そもそも『サウスパーク』は年齢制限があり、本来ならば未成年は鑑賞しないコンテンツです。海外はレイティングが厳しいからこそ、好き放題できる側面はある。そこをレイティングがないに等しい日本と比べる意見を見かけますが、まずそこ、レイティングから意識していかないと話が噛み合いません。
ハッキリ言いましょう。いつまで脳味噌のOSにWindows MEのっけてるんですか? インストールしなおさなくちゃ!

◆ジョークなんだから目くじら立てなくても……
→いじめをいたずらと言い張る論法ですか。こう言ってきた相手をボコボコにするショートストーリーを、ユーモアでもひと匙入れて書いて送りつけて「ジョークなんだから目くじら立てなくても……」と言い返してみるというのはどうでしょう!

それに、相手がどう言い繕うが、差別は差別です。「ならぬものはならぬ」で終わります。うっすらとした曖昧な知識由来であり、内容が差別的である。作者や読者の大半が、歴史、国際関係、国民性というデリケートな認識をおもちゃにしている時点で、手榴弾でお手玉している自覚くらい持ちましょうか。


“ゲームのルール”は変わる

 最後に、今燃えている玩具メーカーのTwitterについてでも。
 このTwitter担当者は処罰相当だと思いますし、どういうコンプライアンスなのだとは言いたいところです。玩具メーカーがやってよいことじゃない。ましてやターゲット・オーディエンス(想定購買者層)である児童の親世代に喧嘩をふっかける、とてつもないストロングスタイルときた。
 
 ここはそういうコンプライアンスの話ではなく、どうしてこんなことをやらかしたのか、Twitter担当者の胸の内を考えてみたい。

 おもしろいと思ったんでしょうね。未成年を性的に見てネタにすることは、笑えるのだ。そういう30代から50代にありがちな、某巨大掲示板のノリをTwitterにでも持ち込んだのでしょう。
 二次元にせよ、ネットにせよ、人間に悪影響を与えていないという。そんなものは詭弁であるし、インターネット誕生からこれまでの年数をふまえれば、無害と言い切るには検証が不足しています。こういう未検証のことは、悪い方向を想定していた方がよい。事故が起こらなくても、シートベルトはする。そういう備えです。
 
 ネットスラングに強い。某大手掲示板のノリを使える。気に食わない相手を某大手掲示板で叩き、それを教えてやることが必殺技だと確信している。SNSでアンチハッシュタグを作り、しつこくねちこく大量投稿。そういうことがこれまでは“情強”として扱われてきたようですが。そういう“ゲームのルール”は変わりました。 

「ネットでは」「ネット民」……こんな見出しのニュースがいくらでも踊っている。けれども、ネット民の天下はそろそろ終わる。そこを見越して前を見た方がよいのでしょうね。

 それと、“オタク”を自認する皆様の、自意識の高さ、被害妄想の強烈さ、攻撃性の高さはどうにかならないものでしょうか。

「オタク文化はもはや帝国側」SF作家の指摘が話題に——その真意とは…? https://virtualgorillaplus.com/topic/geek-culture-is-the-empire/ 

 先日、『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』というドラマが発表されただけで、オタク差別だと怒りまくるツイートが流れてきて、疲れ果てました。先制攻撃癖でもついてしまったのでしょうか? 殴られる側も痛いってご理解いただけますか?

 “ゲームのルール”の転換点を理解できない人は、すぐに危うい姿勢を見せてきます。注目してゆきましょうか。

追記:具体的な対処をもっと考える

 SNS等で、さらに過激かつ攻撃的な『ヘタリア』ファンの動きを観察してみました。

 まず、こういう真摯なファンを誹謗中傷し始める。そういう、脅し出したムーブを見つつ、考えましょうか.

◆“差別”といっても通じないどころかヒートアップする
→こういう手合いは、『ヘタリア』は差別的だと言ったところで、かえってノリノリに踊り出します。ここで、こんなことを書くのは嫌だと言いつつ指摘しますが。反論の際に、韓国と中国差別についていったん封じてみましょう。
断っておきますが、この作品最大の問題は韓国とアジア差別であり、日本人が第二次世界大戦を真面目に反省していない姿勢を見せつけている醜さだと思います。こういうのは『ヘタリア』が端緒でもなく、『ヘタリア』ファンの親世代が教養とする司馬遼太郎も同じことなんですけどね。
なんでそこを避けるのか?
というのも、相手はその反撃は予測済みで、むしろ手垢がついてネットで広まっている馬鹿げたテンプレートで反論してくるから。相手もその程度の対策はしている。水棲系には雷が効くぞ、みたいな思考回路でウダウダと同じことを繰り返し始める。
いやですよね? そういう時間の無駄は省きましょう。

【想定テンプレート】
・ネタにマジレスw
・楽しんだもの勝ちだしw
・二次元無罪w
・表現の自由w

 こういうまっとうなものですら、わけわからん絡まれかたをするんですよね。なら、もうゲームのルールを変えるしかない。

◆彼らなりにも正義がある
→彼らなりに、自分たちが考えた正義規範に沿って動いています。
韓国人なりアジア人を差別すること。これは要するに戦前の大東亜共栄圏マインドであり、船や刀擬人化ゲームがらみでもひょっこり顔を出すものです。
彼らは「自分たちは世間が言えない真実を言ってやった!」と小鼻を膨らませがちですが。要するに、自分の親世代を否定し、祖父母世代を無邪気に焼き直し肯定しているだけです。さして根っこはない。近現代史知識も曖昧なので、叩けば割とすぐに埃が立ちます。

→もうひとつ、“表現の自由”だ。正義中毒になると、ネット上では特に極端になり、捨てアカウントまで使ってリプライをつけまくるドツボに陥ります。彼らの時間を奪うこともある意味では勝利ですので、ミュートでもして時間を浪費さえせましょうか。
この話は完全にドツボなのです。
差別にガイドラインを作るなり、配慮すれば作品そのものは死なない。BLM運動で是非が問われた『風とともに去りぬ』だって注釈付き配信になったわけです。私が昔愛読した小説でも、巻末に「現代では差別的な表現があります」と注釈が入っていたものですけどね。
“表現の自由”にせよ“ゾーニング”にせよ、白か黒かしかないと言っている時点で、論点がずれていてどうしようもありません。

→ミサンドリーとアンチフェミニズム。表現の自由を訴える方は、往々にして男尊女卑こそ正義であると思い込み、抑え込みたい欲求がある。ただし『ヘタリア』は女性ファンが多いだけに、この動きは他のコンテンツより鈍い。

◆“ゲームのルール”を変えること
→実はこういう論点って、保毛尾田保毛男にせよ、『ガキ使』ブラックフェイスにだって適用できるんですよね。

「これを差別だと思う人がいるのか!」
「これを差別だと言い張るお前こそ差別だ!」
「差別だと言い張る人をいますぐこの場で出せないなら、訴えられるかもしれませんよ!」
「表現の自由を守らないつもりか!」
「楽しんだもの勝ちw」
「ネタにマジレスカコワルイw」

 でも、あれにそういう反応をするのは、ハッキリ言ってダサいしカッコ悪いし、文句つける方が終わっている感がある。正直面白くない。差別をせずに笑わせるもっとよいコンテンツはある。
 それに、ブラックフェイスは日本人でもなく、かつアジア以外の方が反発しているから。某大手掲示板に入り浸っていた世代は、アジア以外の外国にとことん弱いんですよ……。そういう弱点を考えましょう。

・ネタとして単純におもしろくない。『ザ・ボーイズ』のようなギリギリネタでもおもしろいコンテンツがあるのに、いまだに『ヘタリア』って……。どういうセンスなんですか?
・だいたい『ヘタリア』って何年前ですか? 世間では今、『鬼滅の刃』が流行していますけど。
・中国の語尾が「アル」か。差別以前に昭和かよ! 一体いつの時代なんだよ!
・『ヘタリア』好きは世界史詳しいっていうけど、あなたの知識メタメタですよね?
・「枢軸国がダメっていうけど連合国ならいいのか!」って? はい、国連もそんな感じですね。敵国条項くらい知ってますよね? あんたみたいな脳みそ70年前で停止した方向けの措置ですけど……。
・あなたの親世代は「俺らが若い頃にはいいものがあった! 司馬遼太郎、大河ドラマ」だったのに。あなたはそれが『ヘタリア』なんだ。へぇー……。
・(ミサンドリスト向け、要注意、女性相手には使わない!)言うてもこんなん喜んでるの腐女子やん……?

 はっきり言えば、幼稚な老害。本物の若者がBTSを聞いているこのご時世に、いまだに某大手掲示板のノリで擁護することが、どれほど幼稚な老害ぶりを曝け出しているか。うっすらと自意識がなまじあるだけに、刺さることでしょう。
 激昂することは承知の上です。幼稚な老害御用達コンテンツだと印象付ければ、“ゲームのルール”は変わります。

 なんでそこまで『ヘタリア』ファンを嫌うのか? どうでしょうね。はっきり言えば、正直、どうでもよろしい。ただ世間の手ぬるさが気になる。

 いちいち、『ヘタリア』ファンや元ファンを傷つける気はないとか。自分の周辺にもファンがいたとワンクッションを置くじゃないですか。優しいのだとは思います。

 でも、事には軽重というものがあります。
 先天的な属性ゆえに差別に苦しむ人と、後天的に好きになったからにはいつでもやめられる特定の作品ファンなら。どちらがより苦しんでいて、重大かわかろうものじゃないですか。私は差別が本気で許せない。そのために、社会の空気を変えたい、できることからやりたい。私の周囲に『ヘタリア』ファンがいるかどうか。正直どうでもいいし、それで関係が壊れてもとっくに覚悟はできていますって。
 『ヘタリア』ファンが、時代遅れで差別的だと言われて悔しい思いをするのと。
 『ヘタリア』により、傷つけられる方々と、疑念を持たれる日本人の歴史意識と。
 どちらを取るかなんて、考えるまでもないこと。耳に逆らう諫言を拒む人とのつきあいなんて、どのみち長くは続かないでしょう。そういう割り切り、自分の悪名だって、時には必要なのではありませんか?

 最後にしつこく指摘しておきますが。
 古いとかダサいとか、そういうこと以前に。『ヘタリア』は差別的かつ歴史認識がおかしい時点で、私は断固認めません。

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