『ちむどんどん』第2回 母は、戦争を思いだし泣く
この朝ドラは見る価値があるかと言われたら、そうだと言えます。仲間由紀恵さんの演技だけでも見ておいた方がよろしいかと。
伝統、貧困、米軍、そして戦争
ヒロインが島豆腐はじめ沖縄料理を喜んで食べる。三線の音が聞こえる。沖縄の言葉。音からちゃんと沖縄に入ります。この音に、米軍機が飛んでいる音が当たり前のように入っているところに、誠意を感じますよね。これも沖縄の特徴だから。
このドラマは脇役がよい。父が民俗学者という青柳家。貧困に苦しむ砂川家。
青柳家が沖縄の伝統に興味を持つことが自然に思える。息子さんはそんな父に反発すると。彼らのおかげで沖縄の特徴も見えてきます。
砂川家を助ける母の姿が素晴らしいけれども、そういう人間の善意しか頼れないということは、支える仕組みがないってことですよね。
戦争を思い出せば泣いてしまう
ラストで大人たちが戦争の話をして、そのあとで母が泣いてしまう、こういうことこそ「王道」朝ドラの伝統だと思いました。間一髪で沖縄戦に参加しなかった民俗学者。那覇の空襲から逃れた母。戦争のことをそっと聞き出す誠意がありました。
仲間由紀恵さんは戦争の悲しみを胸に秘め、髪が落ちないようにまとめ、化粧っけもない沖縄の母を演じている。これが朝ドラの母親像、王道の継承だと思えました。
きっと彼女も、こういう誰かの姿を見て、それを思い出しながら演じているのだろうな。そう思える素晴らしい佇まいがそこにはあります。
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