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『ゴールデンカムイ』#278 花枝子お嬢様とふりちんノラ坊

 1901年(明治34年)――花枝子お嬢様を守るべく、前代未聞の全裸バトルが展開されます。主人公が全裸で戦う!

笑顔の尾形が気持ち悪い

 花枝子は戦う偽勇作玉の裏に釘付けです。尾形はなぜかニコニコ。菊田もこれにはびっくり。しかし鶴見がここで、勇作じゃないと気づき口にします。
 なぜここで尾形は失望するのだろう?
 宇佐美と月島は誰か気にしつつも、応戦する。むしろ勇作じゃないからよいと。花瓶を月島の頭にぶつける杉元。月島は石頭だな。
 月島が拳銃で応戦しようとすると、菊田が乱入して庇います。何もしていない尾形も、ハマ子に突き飛ばされ、シャツだけ持った花枝子が追いかけるんですね。鶴見は菊田がちゃんと仕事をしていると見抜きます、やはり鶴見は賢い。
 そしてここで花沢勇作本人と出くわす偽勇作と花枝子。菊田を怪しむ勇作ですが、シラを切って菊田は逃げます。

 ホテルから外に逃れ、あいつらは何かと聞いている杉元。菊田は自分以外にも花沢閣下の命令で動いている者がいたのかもしれないと語るのみ。菊田の第二作戦は偽花沢閣下夫婦作戦だったそうです。それはひどいと杉元はいう。
 花枝子に口止めの件を知っていたかと尋ねると、彼女は口止めなんていらないと言い出します。花枝子は杉元と結婚したいと訴えるのです。親も家もないと杉元が言うと、花枝子は自分の家ならばお金があると言い出す。婿養子の発想と言いますか。杉元は戸惑い、住む世界がちがうと言います。
 慣れると花枝子は言います。これからどうするのかと。杉元は陸軍にでも入るという、白いご飯が食べられるから。

花枝子の生きる道は

 ハマ子はここで花枝子を励まします。花枝子がイケメンにこだわるのは、女学校を中退していった学友を見返したいのだろうと。しかし花枝子は成績優秀、身体壮健。偽物イケメンがいなくても、ご自身だけで優秀さを証明できるとハマ子は励ます。
 杉元は頭をさげ、花枝子のおかげで華やかな世界を見られたという。同じことを鯉登にも言ってあげなよ。あいつは病院代とか払っているでしょうに。そのお返しが銃剣ブッ刺しか。
 花枝子は勇敢な兵士になるよう励まし、かくして二人は別れるのでした。
 このあとの花枝子は、渋沢栄一らしき男性と隣にいる。財界の大物と浮き名を流し、「女帝」と呼ばれたそうです。渋沢の後妻・兼子がモデルという説もありますが、どうでしょうか。私としては、あんなきつい嫌味を夫に言い放つほど夫の漁色に悩まされた結婚生活を思うと、採用したくありません。
 浮き名を流すという表現も、正妻あるいは妾にされるのもちがうかなと。
 実業家になれたかどうかはわからない。ハマ子はああ言っていますが、明治大正期は女性名義で契約したり、商売したり、できないようになっている。家庭を守ることしか想定されていない。広岡浅子(『あさが来た』ヒロインモデル)のような女性でも名義は家族内男性で契約しないといけなかった。
 ただ、日露戦争の傷病兵看護や未亡人支援は事実なのでしょう。赤十字も日本で始まった。ただ、こういう有志に投げるシステムは第二次世界大戦で破綻します。国家がきっちりと兵士待遇を決めないから、だんだんと悲惨な方向へ突っ走るのです。
 この漫画のすごいところって、第二次世界大戦への悲劇の種もあるところ。誠実に歴史を学べばそうなるんですけどね。

 自分を庇って撃たれた菊田に詫びる杉元。菊田はタバコをふかしつつ巻き込んだことを詫び、地獄の特等席にいると言います。花沢勇作のことも忘れろと。そして軍帽を返すように頼みます。
 いや、ふりちんを隠しているのが軍帽なんだけどさ。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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