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『ちむどんどん』第28回 ナポリタンはイタリア料理ではない

1972年、沖縄復帰の年に上京した比嘉暢子。イタリア料理店に就職面接をしようとしますが、果たして?

イタリア料理ってそういえば日本では

歴史うんちくでも。
西洋料理っていうと明治時代から始まった印象がありますよね。それで正解です。ただ、学んだのがよりにもよってプロテスタント国のイギリスとアメリカなわけですよ。
「マジすか……なんでフランスやイタリアから学ばないわけ?」
そうイギリス人すら困惑する。まあ、当時の国力とか、外交とか、そういうことあるわけですね。
「でも、米沢牛おいしいです!」
で、牛肉上位を持ち込むと。関西が牛肉、関東は豚肉優勢であるといったところに、名残は見て取れます。
といっても時代はウィーン会議以来、フランス料理が最高級であったわけでして。こちらも高級な西洋料理として定着してゆきます。フランス料理とイタリア料理は似ているので、かつては区別が明確ではありませんでした。混同されたのですね。

こうしてみていくと、イタリア料理は比較的後発なんですね。戦後やっと、しかもアメリカのイタリア系移民を経由してピザあたりがまず入ってくる。
沖縄の若者がハンバーガーにちむどんどんしていた一方、東京ではじわじわとイタリア料理が広まっている時代が劇中にあたります。オリーブオイルなんて未知の味なのです。

イタリア料理がイタメシと呼ばれて、ティラミスブームになるのはもっとあと。『半分、青い。』ヒロインの青春時代のことです。

沖縄料理とイタリア料理

主人公がサラダで一発合格を出す。食べている側がよい反応ながら、具体的に大仰な説明がないので、ちょっとわかりにくいかもしれないけれども。
日本人の口にイタリア料理はあいます。海産物が多く、素材の味を生かすから。気候や宗教の影響もあり、海産物をそこまで食べない国もあるわけですね。幕末の遣欧使節団も、スペイン、ポルトガルといった、海のあるカトリック国では料理がうまくて口にあったようです。フランスはパリがちょっと海から遠かったようで。
オリーブオイルで素材の味をいかす。そういうイタリア料理は相性がいいわけだな。

そこに沖縄料理との近似性を見出しているのでしょう。よく考えましたね! 沖縄で素材のおいしさを味わった暢子にとっては、西洋料理でもイタリア料理との相性がよいのでしょう。
これはなかなかおもしろい組み合わせだ!

暢子はセンスはあるけど、知識が足りない。だからナポリタンを勘違いしちゃっている。でも、こういうタイプは知識を身につけるとぐいぐい伸びるとわかる。いいじゃないですか! 昭和の王道ですよ!

にーにーのせいで良子が最悪の見合いに

にーにーに甘いとされがちなこのドラマですが、にーにーのせいで良子が嫌いなボンボン社長と縁談を勧められ、洒落にならない事態に。ここで結婚は家同士だとか。借金の返済の手段だとか。当たり前のように言われていてつらい。
優子は理解があるほうだけど……。

そしてこうした価値観から、良子と石川すら解放されていないよう。良子は生真面目だから家族のためと言われたら飲み込んでしまいそうだし、石川も歯切れが悪いし。
半世紀前の結婚観と、にーにーのせいで良子が……沖縄も大変です。

しかし、石川を演じる山田裕貴さんて、昭和レトロが似合う顔なんだなあ。そういうキャストを揃えていますね。

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