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『虎に翼』第129回 法とはなにか?

「やっぱり。やっぱりそんな顔してる」
 優未が寅子にそう言います。寅子は娘に、洗濯を応援すると言っておきながら、子育てを失敗したと思っているのかと問いかけます。まさかそんなこと。後悔していないと寅子は言います。

好きなこと、やりたいこと、拠り所がたくさんある人生


「私ね、寄生虫の研究も好き。家のことも、料理も好き。読書も好きだし、麻雀も好き。着付けもお茶や刺繍も好き。笹竹で働く時間も好きだし、みんなといる時間も一人でいる時間もお母さんといる時間も好き。好きなこととやりたいことがたくさんあるの。だからつまりね、この先、私は何だってなれるんだよ。それって最高の人生でしょ。最高に育ててもらったって思ってるから。だから、私のことは心配ご無用です! 小さい頃話してくれたでしょ。たくさんよりどころを作って欲しいって」
 たまらず優未に抱きつき涙する寅子。
 そんな二人を、優三が見守っています。
「トラちゃん。約束守ってくれてありがとうね」
 寅子は満面の笑みを浮かべ優三を見返すのでした。
 するとそこへ航一が帰宅し、泣いていたのかと気づいています。
「ふふふ、ないしょ」
 そう微笑む寅子。優三と航一に愛された幸せな人生です。
 思えば第一回、寅子は結婚しか道がないような女の人生に疑念を呈し、焦っていたものでした。どうしてもそこに幸せがあるとは思えない。そう「はて?」と首を捻っていました。
 その寅子の娘である優未は、良妻賢母以外にもたくさん広がる女性の人生があると示してきました。世の中が少しよくなった。その歩みを感じさせるやりとりです。
 優三の幻も感動的だけれども、夫婦愛以外の選択肢や可能性も女性にはある。そう示したような名場面でした。

猪爪家の面々

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