『虎に翼』第51回 あの二人が手を組む
花岡悟は餓死しました。
闇の食糧を買わず、栄養失調になり、倒れ、そのまま亡くなったのだと。
花岡が法に殉じたニュースは、法曹界の外でも大きく報じられ、衝撃を持って受け止められました。その記事を目にして呆然とする復員兵がいます。轟太一でした。
再会
寅子は優未を花江に預け、出かけてゆきます。そのころ、上野の闇市では轟が飲んだくれていました。戦後まもなくの粗悪な安酒で酔っ払い、そのまま寝てしまう轟。その轟を誰かが蹴り飛ばして起こします。なんとよねでした。
よねは轟をあのバーのあとへ連れてきて水を飲ませます。腕にはケロイドの跡があります。轟はよねが空襲を生き延びたと悟ります。マスターは焼け死んだとのこと。知った顔が随分いなくなったとよねはつぶやきます。今は法律相談の真似事をしてなんとか食い繋いでいるそうです。
よねは新憲法を読んだかと尋ねます。
「ずっとこれが欲しかったんだ、私たちは」
よねの胸には仲間の顔が思い浮かびます。男も。女も。人種も。家柄も。貧乏人も。金持ちも。上も下もなくて横並びである。それが大前提で当たり前の世の中が欲しかった。しかし、轟はその鬱屈を嗅ぎ取ります。
よねはくやしい。
自分たちの手で手に入れたかった。戦争なんかのおかげで手に入れるものではなかったのだと。ここがよねの面倒臭いところで、寅子ほどすぐ喜べません。
私の前では強がるな
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