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『ちむどんどん』第21回 賢秀がやらかす

1971年、沖縄返還前年。比嘉暢子は東京でコックになる夢を見出したものの、賢秀が通貨詐欺に引っかかったことで窮地に。

特殊詐欺被害防止を朝ドラで

思えば『おかえりモネ』は気象を甘く見た事故への啓蒙をしていたものですが。今作は特殊詐欺対策を朝ドラでやっている印象。
賢秀に有金を差し出す、そんな仲間由紀恵さんの慈愛に満ちた笑みが突き刺さる。彼女は善良で疑うことをしらないだけなのだ。
なんで特殊詐欺なんかに騙されるのよ! とかなんとかいうけど、人を信じることが美徳とされて生きてきて、そういう人は仕方ないんじゃありませんか?
賢秀は山っけがあってろくでもないけれども、優子を責められますか? 朝から辛い。
良子の言動は詐欺被害防止の役目を果たしていて、心強いものがあります。そうだ、こうすれば防げるかも! 視聴者がそう思うことが啓蒙です。

家族の中にいる“有害な男らしさ”を問題提起

そういう流れもある。しかも男性脚本家こそむしろえげつないんじゃないか。そう思えるのが『おちょやん』と本作かもしれない。
にーにーは明るくマッチョで男らしいといえばそう。極悪ってわけでもない。朝ドラ家族内にいる男性像はそういうものかも。家族にとっては大迷惑だけど根っからの悪でもない。そういう像を年代ごとに描いているんですね。それは今の流行かもしれない。『鬼滅の刃』の風柱一家の父にもそういうものを感じます。
下地に差し出されることで何か突き破る歌子は、まだドラマのうえでのアクセントにできるかもしれないけれど。
良子が兄との対比を持ち出すセリフは辛かった。こういう女性は何人もいる。良子はこの年代の女性が味わった典型的な苦労をガーッと口にしている。これはなかなかすごいことよ。
そういう脇役が光りすぎる中、埋もれない暢子の存在感も、もちろん期待したい!

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