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『舞いあがれ』第58回 五島はやさしい、舞ちゃんもやさしい

 アリバイと偽善者のドラマだ。

アリバイとは?


・舞の見ているだけで共感性羞恥心を刺激される操縦シミュレーションはやめて! 恥ずかしい! ブランクなしでもいけるよ、というアリバイだよね
・五島を再度出す意味がわからないし、一年延長=休むという感覚なのも気持ち悪い。親ガチャあたりはいいね、という冷たい気持ちがフツフツと
→テレポートたかしくんといい(携帯で連絡取り合わんか?)、五島再登場といい、要するに前半で掴んだ視聴者を取り戻すためだけの言い訳でしかないのだが。私も含めて高畑さんを絶賛した連中ならまた褒めるやろ!……とでもいうつもりか? そんな義理ないんでね。高畑さんすら大仰な演技にするなんてすごいわ
・舞ちゃんは優しい子アピール。子どもとの触れ合いでそこをアリバイ的に出すと。舞って薄情で冷たいくせに、ウケ狙いだけはうまい浅はかな偽善者だと私は思うが、騙される人はいるだろう

偽善者は気づかない

 けど、大丈夫。たいていの人はこのドラマのどでかい問題に気づけない。気づかない。

・五島をリゾート地扱い。地方や少数民族を「擦れてない〜」と喜ぶマジョリティというのは差別だと、21世紀なら当然気付いていると思いましたが、このドラマはそうでもない。五島だってリーマンショックの影響はあるだろうし。こういう癒しを求めてくる都会人の鬱陶しさを肯定するとは
・で、こういう傲慢さを広めているのはテレビ局。そういう問題意識を共有できないの? 『なつぞら』、『おかえりモネ』、『ちむどんどん』ではそこを通過していたのに?
・とってつけたような子どものギフテッド描写。こういう子どもを優しく受け入れることで、いい気持ちになる“普通の日本人”のみなさーん! そのくせ、成人したギフテッドはドラマの登場人物だろうがおもちゃにするか徹底的に叩くかなんだよね?

 こんなとってつけたように珍獣扱いされて、「発達障害児にも優しい舞ちゃん素敵!」とアリバイに使われるってなんなんだよ。これで多様性への理解だのなんだの笑わすなよ。

朝ドラにとっくにギフテッドは出てきている

 このドラマを見て「ついに朝ドラにもギフテッドが!」とはしゃいでいる人とは、近づかなくていい。そう見抜けるという意味ではとてもいいドラマだ。

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