『おちょやん』54 母の愛を芝居で描き、知る
思いあうみつえと福助の運命は? 鶴亀家庭劇も続けていかなければなりません。現実と舞台で親の愛を問いかける。高度な構造の今週です。
『マットン母さん』あらすじは?
はい、ここで黒子はんが『マットン母さん』のあらすじをちゃちゃっと説明します。関西弁の底力やね、しかも河内弁ほど濃くない北摂あたりのやさしさがあるわな。これを標準語で、アナウンサーが読んでもここまでおもろないと思います。
さて、どんな話かといいますと。儀平は妻を亡くし、三人の子の世話をお松という女中に頼みます。
松→松どん→マットン……
苦しない? そういうツッコミはええから。そして30年後。正一郎、満里子という二人はマットンを邪魔者扱いする。そんな中、末っ子の三郎だけはマットンの味方で、儀平の妻にしようとします。そないなことしたら遺産が継がれへん! 詐欺に騙され借金抱えた兄と姉は激怒します。
すると三郎が大金を用立ててやる。マッサンが貯めた金でした。
稽古をしていますが、千之助はやる気がない。棒読みです。周囲はこら好き放題やるんやろなぁと警戒心を強めております。
母の目に入れても痛くない娘
岡安では、シズが小さな着物を見ています。みつえが3歳のとき、初めて仕立てたもの。はしゃいで走り回り、転んでどろんこになる。そして新しい着物が欲しいという。甘やかすとわかっていても、その言葉通りにしてしまった。シズはしみじみと語ります。
ええ話やけども。千代が一番綺麗な着物をやっと着せてもらえたのが、テルヲに売られた時だったことを思うと格差が残酷ではあります。
甘やかしてしまう。よくないとわかっていても、目の中に入れても痛くない我が子を甘やかしてしまう。あの厳しいシズがそういいます。だからこそ、菊にいびられて欲しくないからこそ、厳しいともわかってきます。
いままでは子の視点でしたけれども、親の視点でものごとが見えてきました。
芝居が見せる母の愛
そしていよいよ、『マットン母さん』開幕。クライマックスが演じられております。千之助はそんな場面でも、台本にない芝居を展開します。
三郎がマットンの貯金とあかさず金を出す場面で、自ら用意したと明かしてしまうのです。それでどうするつもりか? 笑かすのか? 実際客席は笑い声があがり、あったまってます。
千之助の演技は絶品でした。無理言うてマットンを困らせてくれ。ほんまのお母ちゃんにはなれんけど。そう訴えるマットンに、意地悪な兄と姉が「お母ちゃん!」と語りかけると、「マットンと呼ばれへん」と言い出す。そんな軽妙で感動的な芝居が展開されます。
ついには旦那さんのことも、あんさんと呼ぶ。そこに家族が生まれるのです。
舞台が終わり、一平は認めるしかない。これは俺がやりたかったことだと。変えられてしまっって、悔しいけれど、この芝居はおもろい。これが家族の愛だ。そう悟っているのでした。
ここで千代はハッとして、道頓堀を走り出すのです。
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『週刊おちょやん武者震レビュー』
2020年度下半期NHK大阪朝の連続テレビ小説『おちょやん』をレビューするで!週刊や!(前身はこちら https://asadrama.c…
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