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『虎に翼』第38回 一人? それともそうじゃない?

 昭和18年(1943年)6月5日に行われた山本五十六の国葬を伝えるラジオ放送があります。こうした歴史的な出来事により、時系列がわかるところが親切だと思えます。
 この国威発揚の葬儀は、いわばサンクコスト効果を生み出します。要するに、立派な人物の犠牲を無駄にしないためにもこのまま進むと刷り込むわけです。

直道の出征


 この場面では花江が悲痛な顔をしており、はるがそれに気付きます。ここで泣きだす妻と、それを抱きしめる母の姿から見えてくることがあります。
 直道に赤紙が来たのです。

 精一杯美味しいものを作り、直道に食べさせる猪爪家。そうはいっても、そのsしぶりのご馳走にせよ、粗末なものです。かわいらしい坊ちゃん刈りだった直道の子も今は丸刈りになりました。
 酒を飲み、こう語る直道。
「俺には分かる。日本はこの戦争に勝って、子どもたちにとってもっともっといい国になっていくって」
 花江は微笑み、立派に戦って欲しいと励まします。直道の息子二人は父の願いに応じ、軍歌をあどけない声で歌い上げます。
 直道は寅子に、「俺にはわかる。お前が立派な男の子を産むと」と言い残します。このお調子者の口癖をこんな悲痛な状況で使わずとも。どうか戻ってきて、「俺にはわかる。マッカーサー様こそ日本には必要だと」と語って欲しいものです。
 直道は兵士としてはかなり年配です。戦ううえではそうそう強くなれない。子もいます。それでも徴兵されることから戦況の悪化がわかってきます。そんな直道は、花江と抱き合います。見送る近所の人は困惑するものの、好きにさせてあげろと嗜める声も入ります。

穂高との再会

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