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『おちょやん』112 道頓堀に戻ってきた千代ちゃん

 昭和27年(1952年)。竹井千代は『お母さんはお人好し』が好評。
 天海天海は、『初代桂春団治』が好評。
 しかし、元夫婦のこの人らを会わせることはできないと考えている。鶴亀の熊田を除いては。

魔法の薬で治したい心

 一平も熊田の気持ちを聞いたものの、万に一つもありえへんと笑い飛ばします。そんなことになったら喜劇やと。
 千代は心がちょっとざわついているのか、ラジオ収録でちょっとぼんやりしてしまうことも。
 岡福では一平が熊田の提案を言い出す。一福くんもこれには反応してまうけど、一平はありえへんと酒を飲みつつ言います。一平の酒の飲み方が昭和のおっさんやなぁ。
 しかし、岡福のみなさんは忖度せえへん。みつえはお盆を抱きしめてハッとしているし。シズと宗助は熊田の思いに理解する。座員も千代に会いたいモード。四面楚歌やな。

 千代が帰宅すると、春子が夜間でお湯を沸かしています。預かってもらったんやなかったのかと千代は訝しがります。それにしても朝ドラが勉強になりますよね。湯たんぽなんて初めて見る子もいるんじゃないかな。
 春子は葛湯を作ってました。実母のさくらが風邪薬が苦くて飲めないとき、魔法の薬やと作ってくれたとか。
 ここで千代は、春子両親の写真を見直しています。誠実で真面目そう。さくらは看護婦だったそうです。栗子もよく話していたとか。亡くなった人はいなくなってしまうようでそうでなく、写真や記憶に残ります。家族愛を感じる。
 春子の葛湯を飲む千代、その所作が綺麗で。でも葛湯はかたまっていて飲めへん。それでも母を思う心だけでもありがたい。そんな美しい場面です。
 肩をそっと叩いてくれる春子。千代は娘まで心配をかけてしまったのかと思うところがあるようです。これも熊田の一言ゆえに。
 道頓堀が、千代を待っている。そう思い出してしまった。

道頓堀におかえりなさい

 岡福では、みつえと一福が厨房にいます。ネギを刻む一福くんの手つきがすごい。だしの味を見るみつえもすごい。これは鍛錬した手つきですわ。うどんにこだわりがあるドラマやね。昆布にこだわっとると宗助のセリフありましたもんね。
 みつえは暖簾をかけて、そして外にいる千代に気付き、また戻って確認して、晴れ晴れとした顔でこう言います。
「おかえり!」
「……ただいま!」
 千代はそんなみつえに駆け寄り、抱きつくのでした。
 みつえは道頓堀の象徴になったんやね。戻ってきて、あの無愛想な女将に「おかえり」と言われて、やっと一仕事終わった気がする。そういう大阪の芸能関係者の思いを象徴する。それがみつえなのでしょう。立派になったな。

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2020年度下半期NHK大阪朝の連続テレビ小説『おちょやん』をレビューするで!週刊や!(前身はこちら https://asadrama.com/

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