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『ちむどんどん』第113回 二人で養豚をしたい

 賢秀三ヶ月遅れのびっくり誕生会を開くちむどんどん。その店の前に清恵が通りかかり……。

嗚呼、すれちがい

 今回は15分ですれちがい、再会という、往年のパターンです。賢秀が根に持たないことがうまくおさまっていて、痴漢のあとでもむしゃむしゃ食べているところが彼らしい。
 そして清恵の写真を見た皆はあの豚肉のリリーさんだと気づくわけ。
 豚肉の話になると動揺する賢秀から、暢子は兄の恋心を察知しました。そして励ますのです。

重子と三郎が引き出す気持ち

 暢子はフォンターナに電話して、重子に清恵が来たら教えて欲しいと伝えます。そして電話を切ったら清恵がきて、豚肉の仕入れ先実家情報を伝えて去ろうとするのでした。そこを重子が止めて、ワインを飲みながら語らおうと言い出します。

 一方で賢秀は三郎に話を聞いてもらっています。そして本音が見えてくる。千葉で地道にコツコツ養豚をしたい。清恵とそうしたいのだと。

 重子も清恵の気持ちを理解します。家とも彼とも縁を切っていきたいという相手に、私も若い頃はそうだったと言います。でも、そうしなくてもよいと。

 嘘をついてもいい。失敗してもいい。三郎と重子はそう励まします。相手が釣り合わないと別れたこの二人が、若い二人を導いているのです。いいですねえ。

 三郎がもう後ろから抱きしめろというと、賢秀はいきなりすっとんでいく。あまゆの戸すら開けっぱなしだ。それだけの思いがあるんでしょう。三郎は悪いこといっちまったかな、と言いつつも満足感はあるかも。自分ができなかったとを若いものにさせる喜びはあるんでしょうね。

そして再会だ

 そして賢秀は猛烈に探し回り、リリーとしてお客を送り出している清恵を後ろからガバッと抱きしめます。

 この絵面のごちゃっとした猥雑さよ。田舎臭い場末のスナック。安っぽいウィッグをかぶったリリー。臭いがしてきそうでいかにも第一次産業ぽい服装の賢秀。髪型も野暮ったいしさ。

 そして演技力。ぎこちねえ。ロマンチックというより不自然。

 でも、こういうのがいい。思えばこういう泥臭い恋愛は忌避されてきて、このあとはもっと洗練されたトレンディドラマが受けるようになったんですよね。でもそれでよかったっけ? こういう泥臭い恋愛もよいのでは?
 そんな問いかけを感じます。

 このドラマって、『にっぽん縦断 こころ旅』で火野正平さんが読み上げる、読者の手紙みたいな世界観を感じるんですね。ささやかなエピソードだけど、その人は一生忘れない。泥臭いけどそれは紛れもないときめき。そういう日本の、普通の泥臭さを感じます。
 いや、賢秀級のやらかし野郎はそんなに多くなかったかもしれないけど。

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