『おかえりモネ』第64回 向かい風を切って走れ!
鮫島のためにプランBを用意しましょう――そう朝岡は宣言します。
プランBは風とともにある
そして3日前。風の説明がされます。南側にスタンドがある競技場では、南からの風はあまり入らない。しかし、南西だと3メートルほどの風が吹く。雲の流れでそれが分かる。向かい風をぶっちぎる、そんな鮫島得意の走りができると。風の神だった朝岡が言うから説得力があります。
向かい風ってきついはず。でも、鮫島はそれが得意。追い風の時にセーブして、向かい風で猛然とダッシュするプランBが組み立てられてゆくのです。モネも、鮫島さんは向かい風が強いと熱心に言い切ります。
「なんも知らんくせに」
鮫島がそういうと、モネは根拠を説明する。自分を追い詰めるようにプロになって、朝岡の講演会を聞いて頼んでくる。負けん気が強い、まさしく逆風を跳ね除け、つけ抜けていく人だと。
「よういうわ」
そう流しつつもうれしそうな鮫島です。
そしてレース当日
そして9月25日――レース当日です。
車椅子マラソンの準備も含めた様子は、なかなか見る機会がないと思います。そうしたものをこうして流すのだから意義を感じる。競技の醍醐味や面白さまで感じられるのです。
チーム鮫島で会場にいるのはモネのみ。鮫島がうっとうしいとつぶやくほど大声で応援します。
モネってボーッとしているというツッコミはあった。キャピキャピ動くタイプでもないし、ラグビーのW杯は見ていなかったし、熱狂とは無縁のように思えます。しかし、実はそうでもない。
そうそう、菅波も気にしているようですよ。
鮫島のペースは安定しているものの、だんだんと体温上昇とともにペースは落ちてきます。モネは空を見て、神野に雲の動きが変わったと電話するのでした。残り14周でプランBにいく!
モネは宇多川が書いた「風吹きます」というサインボードを掲げるのでした。
鮫島は思い出しています。
風の中で走ることがが気持ちいい。逆風をはねのけて走る、そんな鮫島さんはかっこいい。そう語ったモネのこと。風が吹く中、鮫島は走ります。
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