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『ゴールデンカムイ』#284 私たちのカムイ

 土方は函館戦争の敗因のひとつを語り出す。堡累(ほうるい)が必要不可欠だった。敵の攻撃を防ぐための小さな城塁が必要だったのだと。それを今はソフィアの配下が積み上げています。
 あれがあれば変わっていたかもしれない。そう土方は振り返ります。

防水加工された中には

 午前3時30分、杉本と白石、そしてアシリパは「神」の刺青の場所を掘っています。石じゃない何かにあたり、あわてて掘り出す一行。そこにはアイヌの技術によって厳しい防水加工をされた中に入った書類がありました。そして冊子が出てきます。
 土地の権利書でした。
 函館共和国政府は、軍資金に困っておりました。アイヌは榎本武揚から、開拓の進んでいない広大な土地の権利を買うことにしたと書かれています。
 杉元は土方がそれを知らないはずがないと問いかけます。土方も蝦夷共和国の一員でしたからね。それが土方は前線にいて知らなかったとのこと。とはいえ、これでウイルクが土方に「神」の刺青をした理由もわかります。話が通じやすいわけだ。
 榎本は賢い。蝦夷共和国が終わったあと、明治政府が金塊だけ受け取って反故にすることは織り込み済みでした。金塊が欲しい政府も契約引き継ぎを動いていた。英、仏、普(プロイセン)、蘭、伊、米……各国大使を引き継ぎの場に立ち合わせたのです。
 榎本なりの恩返しか。それとも負けた腹いせか。いずれにせよ、賢い手段でした。これは「万国公法」ともいえる。坂本龍馬かよ! そう突っ込みます? 実は「万国公法」がなんなのか明確明瞭に定義ができないのです。国際的基準とか、世界標準とか。要するに外圧。外国目線で見てフェアかどうか? そういう目線そのものですね。ただ、当時は海外でも先住民は下に見ている。榎本のもくろみが当たるかどうか。そこはなんとも……。
 蝦夷共和国の結んだ契約を明治政府が引き継ぐ義務はあったのか? ここでガルトネル事件の前例が持ち出される。このへんは後述します。白石はつまり金塊は政府に支払っていたのかと呆然としています。
 でも、それなら鶴見や中央も知っていたはずでは?

私たちが本当に必要とするカムイ

 ウイルクは感激していました。
 土地こそ、武器よりも残すべきものだから。戦うことでなくアイヌを守るためには、それが最善の手だった。アシリパは見えかけていたアイヌのためにやるべきことを見出す。それはすでに、昔のアイヌたちによって成し遂げられていた――そう悟る。
 災厄をもたらす黄金のカムイは、私たちが本当に必要とするカムイに置きかわっていた! 父の裏切りも、これで心の整理がつく。
 と、思いたいところですが。それもアシリパの願望が入っておりませんかね。なんとかして鶴見に植え付けられた苦しみを軽くしたかったから、信じてしまいたいのでしょうけれども。

 でも、ズドオンという音が響く。それに杉元はウイルクはどうしてここに権利書を残したのかと気にしている。権利書が狙われていたのかもしれないとアシリパ。キロランケかと杉元が問いかけると、キロランケが奪ったところで使い道はないと否定します。

しかしまだ残る何かが

 鶴見到着まであと2時間。撤退しようとする一行です。しかし土方は気づく。まだ一万貫(約37トン)が残っている。そして鶴見がやってきた。
「おはようございます!」
 まだ未解決の謎はある。
 一万貫の金塊。
 権利書が隠された理由。
 菊田が警告した金塊を発見してはならない理由。
 そして、鶴見の動機。
 まだ、謎と戦闘は続きます。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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