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『おかえりモネ』第65回 最後は人間性が結果を左右する

 残り5周――プランBに切り替えた鮫島は、なんとタイムが伸びてきています!

根性論ではない、人間性だ!

 チーム鮫島の面々は驚いています。内野が「最後は根性論か」とつぶやくと、朝岡はむしろ人間力だと返します。そしてついに鮫島は標準タイムを切ってゴール! 皆よくやったと、拍手喝采です。
 そういえばクラウゼヴィッツもそんなこと言ってましたね。戦争の話で物騒だけど。士気はなまじ計測できないから頼りにしすぎてもいけないけれど、無視もできないと。理詰めで勝利を目指していって、最後に士気、人間性、心を見つめることも大事なのでしょう。

 このあとモネと鮫島がオフィスに戻ってくると、誰もおりません。「おらへんなぁ」と鮫島が言うと、チームの面々がサプライズをして出迎えるのでした。強化指定選手おめでとう! 勝負に勝てたのは、プランBを選んでくれたからだとみんな感無量です。
 実は鮫島ははなからそうするつもりだったと明かされます。レーサーの高さを3センチあげていた。前傾にするスタイルで、風を使って走るつもりであったと。情報を信じるか、信じないか。そのことが大事だと朝岡は再確認します。これでスポンサーもついて金の困らないぞ! そうみんなで喜んでいても、社長の安西は褒めつつもそのまんまの明るい口調で「スポーツ気象は儲からない」と言ってしまいます。他の分野が儲かりすぎるのかも。貨物輸送なんてそりゃ金の動きが半端ないと思いますよね。
 朝岡もシビアなので、今回のことは奇跡ではないと言い切る。条件が揃えば風は吹く。そう言い切ります。現実主義者が多い世界だ。

 律儀な鮫島は、汐見湯にお礼を言いにきます。ここでのお風呂のおかげだって。菅波にも感謝していると言います。そしてモネにも。感覚でいけと言われて、反発したようで、うれしかった! 自分のことを見ていてくれる! だからこそプランB、永浦さんを信じたって。それはそうなんだと思う。スポンサーなくても突き進む性格まで観察して、個性を理解していると鮫島にはわかっていた。そんな信頼関係があると。
 ここで字を書いてくれた宇多川にもお礼を言います。物音で返事が返ってくるのでした。

ど新人の空回りが……

 モネと菅波はアイスを食べています。またアイスクリーム頭痛になる菅波。こういうタイプのアイスは向いていないんじゃないの? もっとゆっくり食べればいいのに。そう突っ込みたくなりますが、それも菅波の個性なので。これをレース中に飲む鮫島さんは超人だと感心しています。そこに感心するところが菅波の個性。かっこよさばかり言われがちですけど、彼はかなり変人ですよ。朝岡も、モネもだけど……。
 そんな菅波は良い結果が出たことに対し、淡々と喜んでいます。モネはここでアイスのパッケージを捨てつつ、菅波の過去について聞き出そうとします。
 先週金曜日から引っ張った。週末に伏線を作り、週末に解決する構造はなかなか挑戦的です。
 モネはなかなか度胸がある。切り込んでゆく。なかなか濃い性格ですよ。モネは自分ばかり聞いてもらって、何も知らないと言います。

 それはど新人の空回りだったと語り始める菅波。
 初期研修が終わったあと、40代男性患者ホルン演奏家の担当となりました。肺の機能を残すために、最小限の手術をすると菅波が言い、相手にとても感謝されました。
「先生のおかげで助かりました」
 そうコンサートにまで招待された菅波。
 手術前、気になる所見があるからと経過を見て化学療法にするかどうか判断したいと言われたにも関わらず、半年後の演奏会のために、菅波は手術を勧めたのです。しかし、開いてみると想像以上に進んでいた。
 化学療法にしていたら、肺機能が残せたかもしれないのに……。演奏家として、復帰できたかもしれないのに。
 家族から菅波は聞きました。迷っていたけどこう言っていたと。
「菅波先生が言うんだから、大丈夫だって」
 バカですよ。親身になってくれてるから信じて。経験も実績もない新人の言葉を信じて。そして実績まで棒に振ってしまって……。
「僕が冷静だったら、まだ舞台に立っていたかもしれない……」
 そうつぶやく菅波の背中を、黙ってモネはさするのでした。

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