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続・Mrs. GREEN APPLE炎上を考える 

 『ゴールデンカムイ』に何が関係あるかという話かもしれませんけど、あります。
 私はあの最終回を読んだとき、ものすごく気持ち悪いものを感じました。それと同じ感想をあの炎上を見ていて感じたのです。そんな問題提起の続きで、今回も無料エリアは少なくしていきます。

よりにもよって伊藤博文を出すのか……

 榎本武揚が問題があることは、前回書きましたね。この榎本がよりにもよって、信頼できる人物として伊藤博文とその腹心である西園寺公望をあげたのだから、これはもう、どうしようもない。擁護のしようがありません。

 伊藤博文の名前を持ち出すと、朝鮮半島の支配が連想されます。明治期の政治家でもよりにもよって最も燃えそうな彼を出すのは、あまりに迂闊なのではないでしょうか。

 『ゴールデンカムイ』は、日露戦争帰還兵が主要人物に多く含まれています。日本からすれば、南下して拡張するロシアに対する「自衛」という名目が語られることでしょう。背後にイギリスやアメリカの影がちらつくにせよ、そこは通らなくもない。
 しかし、朝鮮からすればそうならない。
 日本は朝鮮に食指を伸ばしてきた。地理的に近いし、もしももっと穏健にやればよかったのかもしれない。それがそうはならない。王宮を見下ろすように朝鮮総督府を建て、そこに乱入して明成皇后を惨殺した。明成皇后は日本では「閔妃」と称されています。いまだに敬称を抜いて呼ぶあたりから、何か察せられるものはありませんか? ともかくそういう過度に攻撃的な態度で支配しようとしたから反発されて、そこをロシアにつけ込まれる隙ができた。そんな南下、領土拡張野心の果てに起きたのが日露戦争であるとみなされてもいます。

 そんな朝鮮支配の象徴たる伊藤博文をそこで出すというのは、余計なところへ首を突っ込んだとみなされても不思議はありません。よりにもよって! そう嘆きたくなるのです。
 幕末明治にかけての政治家は、信義にもとるようなこともさんざんしています。朝鮮の支配を見ていたら、アイヌの権利書なんかこいつらが守るわけないかと思われてもまったく不思議ではありません。壮大なギャグか? そう突っ込まれかねない。
 じゃあ明治の政治家は誰が信じられるか、ということになりますけれども。現実をみれば、約束を散々反故にしてきたことが。アイヌの権利侵害の背景にはあります。そんな政治家を信じることで大団円にするというのは、あまりに無茶苦茶なオチの付け方です。しかし連載当時の日本では、明治政治の批判がしにくい空気が醸成されていた。この空気が変わったら、あの終わり方も変わるとみて不思議はありません。

 そう考えてくると、やはり、実写映像版では相当変わるのではないか。私はそう思います。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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