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『虎に翼』第32回 これからの人生をともに過ごす相手とは

 変わらない日常のようで、子どもが無邪気に大人を撃つ遊びをしている。そんな猪爪家です。
 花江は花岡が寅子と二人きり出会いたいと語ったことに反応して、勝手に笑っています。花江が何を着ているのかというと、寅子は仕事の後だからいつもと同じだと淡々という。花江はプロポーズされたらどうするかとはしゃぐ。この様子をはるが立ち聞きしている。花江はここで些細なことに気づく気の利いた殿方は一握りだといいます。そして直道が叫んでいる。
 演出だし、これが直道の性格だし、そういうものなのだろうけど。いきなり大きな音を出されると神経に刺さる人間から見たらひたすら鬱陶しいですね……。

黄色いワンピースの意味を、一握りの男は理解する

 花江の言葉を意識して以来、寅子は道ゆく男女のことをみて何かモヤモヤしてしまいます。さらに寅子は黄色いワンピースを仕立てます。あまり針仕事は得意でないでしょうに。黄色は虎らしい寅子のイメージカラーなんだとか、流行よりも自分の好きな色を重視したいですよね。

 寅子の職場で、常盤は当時の婚活マニュアルを読んでいます。「産めよ殖(ふ)やせよ」です。寅子は黄色いワンピースで出勤するも、雲野も岩居も無反応です。花江のいう一握りの男ではないと判断する寅子。これは今日の観点からするとむしろセクハラをしない良心的な姿に思えます。それに仕事場のセクハラって、花江みたいな女も共犯者ではないかと思えてきます。ああいう恋愛マニュアルじみたことを聞きつけた男が、一握りがわに入ろうとして、いちいち女の服装をジャッジメントすることがセクハラじゃないですか。いまだに「セクハラされるのは女と見られているってことよ」という女性がいたりするわけじゃないですか。
 花江に悪意はないし、それが世間ってものだろうけど、その弊害を考えて欲しい。事務所で寅子のワンピースに気づいたのは、女性の常盤だけでした。これって今でもあることかも。ワンピースならまだしも、ネイルやメイクは同性同士で見せ合うほうがむしろ楽しいことは往々にしてある。

花岡の挑戦は、戦う前に終わった

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