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『カムカムエヴリバディ』第102回 これはどこの1999年なのか?

 はい、いよいよラストスパート。やっつけ仕事です。時代考証? 知らない概念ですね。

『サムライ・ベースボール』のセンスがなさすぎる

 ちょっとどういうつもりなんでしょうね。

・江戸時代なのに合戦がある
・しかも「ベースボール」という単語が成立したのは早くとも18世紀後半。その頃に野球を教えるべく、どうやって入国するんですかね……

 時代考証が雑すぎる。まだ1970年代から80年代ならそういうバカな映画もあったかもしれない。しかし、99年にそんなものあるか? あえてあげるならば『ラスト・サムライ』でしょうけれども、あれと比較するのもおこがましい。
 『47 RONIN』かな? 『スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ』かな? で、そういう映画に出ることが成功であり、時代劇の明日につながると思ってますか? 

 この一連の流れはトラウマを刺激した。『GOEMON』に『SHINOBI』。00年代の駄作時代劇の嫌な記憶が蘇る。

1999年、ハリウッドが目を向けていたのは

 映画の歴史を覚えていればすぐ出てきますけど。香港のワイヤーアクションです。90年代の香港映画はすごかった。その熱気は日本にもハリウッドにも届いていた。 
 そして『マトリックス』が大ヒットして、一般の映画ファンにまで知れ渡った。武侠の軽功のような動きが世界を席巻しました。劇中はそれより前とはいえ、日本映画の時代劇なんてとっくに輝きを失っていましたって。タランティーノが好きなソニー千葉だってもっと昔ですよ。
 そのあとの00年代、どれだけ中国語圏の映画が日本含めて世界を席巻したのか。それをふまえてこのドラマを見ると現実逃避が凄すぎてついていけない。
 どうしてこうなるのかというと、明治以降の脱亜入欧から抜けきれていないんですね。
 西洋人に褒められる東洋人は、日本人だけだと思い込んでる。そういう層は声がでかい。
 こんな二十年前のことを歴史修正するなんて、無茶にもほどがある。こういうやっつげ仕事を褒めてヘラヘラしているから、日本のテレビは韓流ドラマに完敗するんじゃないですかね。

日本スゴイのディストピアを受信料で!

「ちょっとは勘弁してくれよジャパン」

  この手の見出しの恥ずかしい雑誌はだから売れる。日本のウォシュレットをベタ褒めするテレビ番組も数字が取れる。そういう現実逃避に受信料をぶっこむと、そこそこ数字も取れる。

難易度を落とせばいい

 「この朝ドラ無茶苦茶つまらんけどなんで視聴率いいのかな?」

 そういうツッコミに私なりの答えでも。
 99年が舞台なのにWindowsも、プレステも、ケータイ電話ですらさほど出ていない本作。それはなぜか? 難易度を落としたいんですねー。
 
 『おかえりモネ』の感想で、こういうものがありました。

「主人公たちがスマホを使うけど、私には難しいので使わないで欲しい」

 現代舞台のドラマでは厳しい要望ですが、これが現実。そういう人にとって、デジタルを無視した本作は難しくなくていいと思う。

 だってさ。
 あの正体バレバレのアニーなんて、演出で「安子です」とでっかく書いてあるようなもんじゃないですか。あの照明。あのBGM。あの演出。

 このドラマでも「時代劇はパターン化してつまらん」とあったけどさ。古い時代劇って、出てきた瞬間わかる悪代官とかそんなドツボに突っ込んだわけじゃないですか。
 そういうことをするとクオリティが落ちるのになぜそうするのか? 間口を広げたんでしょうね。それか聴者を見下すか馬鹿にしているか。

 時代劇への敬愛も知識もなく、ファッションで扱っているサブカル気取り臭さが鼻につくドラマですが。そういうところは往年の時代劇からみっちり学んでいるのでしょう。

 ええんちゃうか。『オードリー』がわざとらしく出てきたし、朝ドラファンの掴みはばっちりやろ。

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