『おかえりモネ』第44回 いい顔になった若者を送り出そう

 能舞台にいたサヤカは、モネに感想を聞いてきます。かっこよかったと返すモネ。そんなモネにサヤカはものごとは陰と陽で成り立っていると言います。

陰陽――バランスが大事

 陰と陽、または陰陽(おんみょう)。サヤカの説明に、モネは高気圧と低気圧を思い浮かべます。バランスによって天気が変わる! なんでも話を天気に持っていくようになっちゃって。サヤカは舞には雨乞いの意味もあったと語ります。サヤカはモネと話があっていい。マイペースさにちゃんとついていってる。いろんなものがつながっていておもしろさを感じているモネ。そしてこう言います。
「サヤカさん、すみません、嘘ついて」
 サヤカは気持ちはわかると言います。ここで「仁に過ぎれば弱くなる」と政宗の五常訓を持ち出す。甘やかすなってこと。年寄りなんて甘やかしたら弱くなるって。
 私は一人で生きてきた。
 これからも、一人で生きてゆく。
 だから強い!
 サヤカは堂々とそう言い切る。
「あんたに心配される筋合いはないよ」
 そうふてぶてしく言い切るのでした。サヤカもかっこいい! かっこいい女性はどの年代でもいるのです。
「いきなさい。自分の思う方へ」
 ここで雨が降ってきます。すべてが整ったら雨が降る。そう語られるのでした。ここで石ノ森章太郎の雨の絵が入ります。

いい顔になった若者を送り出す喜び

 モネが辞めると佐々木に言うと、皆は動揺します。山も皆も大好きだけど……そう伝えるモネ。サヤカは山を知ったから空を知り、仕事をしたくなったのだとフォローします。そしていい顔になったと言う。最初はひどかったって。川久保もあの子は大丈夫かと心配していたそうですよ。
 ここまでになったからこそ、かえって見送ることができる。見つけたことがあるなら仕方ない。サヤカはそう言い切ります。川久保も、石ノ森章太郎の言葉を引きつつ励ます。
 どんなに時代が変わっても、面白いことをみつければ、人間はいくらでも熱くなれる――そう敬愛を見せるのです。
 佐々木はヒバの保管所も見つけてくれたと言います。学童机もがんばった。モネや菅波はあんまりドヤ顔アピールしないけれども、功績はちゃんとあるし優秀なんですよね。
「わかりました、がんばってください!」
「ありがとうございます、お世話になりました!」
 そう言いあい、モネは去ることになります。
 ここでちょっと考えてしまう。もしもモネが、菅波と結婚退社するのだったらどういう反応でしょう? おめでたいというだけで、当然のことと受け流している気がする。どちらも人生が変わるし、女性の身につけたスキルや築き上げた人間関係も消えるかもしれないのに、祝福だけでしょうね。
 そんなことをふと考えてしまうのです。
 そしてここで、菅波も遠くから笑顔で見守っているのでした。

菅波の気付きと挑戦

 そんな菅波は、田中に登米に残ると電話で告げています。行き来しながら、訪問医療も続けたいと。意外な答えだと田中が返すと、足りないものがあると考えてここに配属したはずだと菅波は言い返します。
 痛いと言っている人がいたら、ただ手を当てる。考える前に手を動かす。そんな医者になるために、もう少しこっちにここにいたいと告げる菅波。田中は助かっています。後釜が見つからなかったそうです。
 電話のあと、菅波はじっと手を見ています。モネに触ろうとしてできなかった手のことを。
 視聴者からすれば「なんでだよ!」となるかもしれない。そこで訪問医療かよ、医者として考えるのかよ! でも、これも彼の個性ですから。

 モネが帰宅してからサヤカにお礼を言うと、若者を快く送り出すのが大人だとサヤカは返します。そしてやんなきゃいけない大事なことが残っているという。気仙沼に行って、家族に話しなさい。そう告げるのです。胸の内に抱えてきたことを、自分の言葉で話すよう促すのでした。

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