見出し画像

『虎に翼』第80回 二人でおいしいものを食べよう

 寅子は高瀬の森口への暴行の一件について、きちんと処理すると断言します。なぜそんなことをするのか、穏便に済ませないのかと周囲は困惑します。しかし、高瀬本人は、寅子の考えがきちんと言葉で聞きたいといいます。
「わかった」
 まっすぐな瞳で、そう答える寅子でした。

貸し借りなしでいこう

 寅子はスキル、経験、貸し借りなし。自分がここにいなくなってからのことも踏まえて語ります。この仕事をしている以上、何を言われようと暴力はいけない。ひどい相手と同じ次元に落ちて仕返しをしてはならない。しかるべき処分は受けるべきだ。穏便な処理でああいう人たちに借りを作って欲しくない。傷つけ、心にかさぶたをつけ、悪気なく剥がしていくような人たちだと寅子は言い切ります。そんな連中にヘイこらして欲しくないと。
 自分の意思で物事を受け流すのと、受け流さざるを得ないのは違う――そうキッパリといいます。寅子は自分がいなくなってからも、このことで縛られないように、したいことができるように、怒りたいとき、怒ることができるようにそうしたのだといいます。
 感極まった顔で頭を下げる高瀬。おおむね、自分の予想と一致していたといいます。高瀬は前もって相手はこうだろうと予測するし、相手の言葉の裏まで読めるので、それに対して怒りがカーッと湧いてくるのかもしれません。寅子には信頼感があって、こう厳しくするということは意義があると考えてきたのでしょう。
 書記官として極めて有能です。そもそも、寅子に書類を探せと言われて、江戸時代まで遡る古文書を探り当て、それだけ持参したほどです。根本的な解決手段を寅子が求めると察知してそうできたのでは? 極めて優秀ですね!
 ただ、寅子と高瀬本人は「以心伝心だ! 魚心あれば水心!」と感極まっているだろうけど、周りからすればわけがわからないかもしれない。
 そのためか、寅子はこの話はこれでおしまいと打ち切りにするのでした。

キャラメルを、二人で食べよう

ここから先は

2,306字

朝ドラメモ

¥300 / 月 初月無料

朝ドラについてメモ。

よろしければご支援よろしくお願いします。ライターとして、あなたの力が必要です!