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『おかえりモネ』第43回 夢のために旅立つことが怖くて

 モネとサヤカが切ったヒバが、ゆっくりと倒れてゆきます。

木材保管場所は?

 伐採を終え、さっぱりした顔のサヤカ。とはいえ、森林組合には保管場所という課題があります。ここでモネが木蔵(キッツ)を調べていてわかったことがあると言います。川の氾濫の影響を受けやすい場所はある。そんな中で、何百年も免れている場所がある。
 それはよねま神社! 神輿を保存している場所もあるし、そこだと皆喜びます。
 宮司のクラちゃんがちょうど来ています。彼はモネから話があったとはいえ、50年後はどうなるかわからないと困っています。それでもモネは、サヤカの言葉を引きつつ言います。
 50年後、100年後、役立つものを残すことの意義を。ここで神社の意義が思い出されます。村を守ることが意義だと。
 モネはすぐにすごいことをパッ思いついて堂々とドヤ顔で言うわけではなく、データを集めておずおずと言う。これがリアリティだと思う。ドラマ映えしないからドヤ顔断言、口挟む奴がが「頭の回転が速い」と誤解されますけど、できる人はデータをコツコツ集めるものですよ。

 モネとサヤカが二人きりになったとき、サヤカはモネにこう言ってきます。
「なんで嘘なんかつくの?」
 サヤカはお見通しだ。朝岡の元へ行きたいこと。やりたいことがあること。サヤカなりに朝岡の話なんか降って、データ集めていましたからねえ。サヤカは同情したのかと言います。
 70歳手前で。一人きりで。お金持ちかと思ったらそうでもなくて。バカにしないでよ。軽くそういなすのですが、モネはどうするのでしょう?

心にずっと刺さっている311

「もう勉強する必要はないはずですが……」
 そう戸惑う菅波。モネと勉強のために二人きりになっていた。あの部屋でモネといて、困惑しています。菅波は嘘をついたことを責めるわけではなく、サヤカも一緒に喜びたかったはずだと言います。がんばるところを見ていた人だってうれしいのだからと。自分もそうだったんですね。
 サヤカさんなら離れることになっても、きっと喜んで送り出すはずだ。そう菅波が言うと、モネもそれはわかっていると言うのです。
 モネは5年前の記憶があった。ちょうどこの日は、3月10日。その翌日が、あの日です。
 島なんか離れたことがないのに、音楽科のある高校受験発表を見るために、仙台にいた。そして大震災が起きてしまった。島も、家族も、友達も、大変だったのに。
 妹に言われた。
「お姉ちゃんは津波見てないもんね」
 そんなの仕方ない。でも、ずっと刺さってて……。そう語るモネの背中に菅波の左手がのびてゆくけれど、右手で抑えます。
 モネを慰めたいけど、そうすると自分が抑えきれなくなるかもしれないし。
 なまじ自分が距離を詰められたり、いきなり触られると嫌だし。
 抑えるしかない。そんな菅波の不器用さが、かえって大反響を呼びそう。こういう人がいてもいいんです。
「すみません、こんな話して……」
「サヤカさんと、話をしてみたらどうですか?」
「はい」
 菅波なりの最適解が示され、モネも決意を固めます。
 サヤカは能舞台にいるのでした。

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