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『ちむどんどん』第11回 にーにーは気のいい昭和の兄貴だが
1971年、沖縄返還前年。比嘉家の面々が青春を満喫していました。
“男まさり”の暢子
暢子は男子と走り、賭けに勝ち、サーターアンダギーを得る。そして陸上部にスカウトされます。短い導入部ですが、部活動ができない暢子の環境もわかります。陸上できるほどの金銭および時間の余裕がない。
そして昭和の男女観! 悪意も何もなく、女のくせに生意気だと出てくる。かつては当然だったことが野蛮だとわかる、秀逸な場面です。
そしてこのサーターアンダギーがうまそうだ。とりあえず黒島結菜さんが元気にしているだけで、100点中1000点つけたくなるくらい、いい調子ですよ!
ちむどんどんするさ! この決め台詞も決まってるさ。
暢子はこのあと死語になりつつある“男まさり”と言われるのでしょう。男まさりだからでなくて、暢子が暢子だから強い。そういうドラマになるといいな。
比嘉家の家計はなんとなかったらしい
借金まみれだった状態がよくなったことは、断片的に見えてきます。良子が教師として働いて給料を入れてくれる。暢子も学費負担はそろそろ終わる。歌子は恥ずかしがり屋で病気がち、歌が好きなことは変わらないとか。賢秀不明で、最後にオチとして出てきますが。砂川智が立派に働いているのにあれはなんなのだ。
そして優子が共同商店で働いたことが大きいと。店主の善一夫人の穴埋めというめぐりあわせがあったようで。これなら土木作業よりはマシだわな。村の共同商店というのも、コンビニやスーパーができると駆逐される消えてしまったものですよね。赤くて丸いポストにそっと手紙を入れる良子がいいですね。こういうときめきが今はもうない。
にーにーがやらかす
にーにーこと賢秀が昭和らしいダメな男になっている。高校でボクシングをして中退、卒業後は仕事が続かない。
酔っ払った若者がおばあちゃんを突き飛ばしたところに、賢秀が殴りかかり、捕まる。この流れが昭和の兄貴風なんだな。
まず酔っ払ったっていうけど、こいつらいくつ? 20歳すぎてる? 当時は未成年飲酒に甘いもので、高校生くらいは平気で飲んでたんですよ。
暴力沙汰もある。昭和フィクション番長って、妙に老けてて凶暴じゃないですか。凶暴だったんですよ。賢秀が本気で反省しているかどうかあやしいけれど。こういう暴力沙汰や血気盛んなことが兄貴風としてプラスだったのが昭和なので。
賢秀は本当にダメだと思う。でも昭和はそもそもダメとはっきり認識されないというか、できないというか。
暢子なんて賢秀のダメさのせいで就職までぶっ壊れましたからね。思えばこいつは運動会の前の晩に、体操服とズックをアベベの小屋に置き去りにした。あれが始まりなんだろうな。これから先、どんだけ迷惑かけるのかな。
賢秀の頭に巻いたあのバンドと、よれっとしたランニングシャツ姿がたまらんね。今から見ればランニングシャツなんて、シルエットが透けるだけでも悶絶するようなダサさだけど。当時は本気でカッコいいと思ってあのカッコしてましたからね。
昭和おかあさんの背中
仲間由紀恵さんはメイクも控えめ、汗のにおいがうっすらとしそうな、そんな沖縄のおばちゃんになりきっていてすごい。俳優としての成長ってこういうことだと思えます。
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