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『カムカムエヴリバディ』第39回 るいの物語

 るいの物語が始まります。
 祖父の死を契機に、雉真と縁を切ろうと決めたるい。誰にも頼らず、大阪まで来ました。しかし、額の傷がかえって雉真と繋がっているようで。るいは新たな世界を求めてもがき始めます。

はなから不安な二人目スタート 

 そもそもがこれで叔父と姪と言われても頭がついてこない絵面。いくらなんでも無理がある。勇は髪型だけで加齢を表現されてもわけがわかりません。
 雪衣は悪役おばさんにレベルアップ。このドラマはババアを絶対悪とする方針ですので、美都里の次はこいつですよ。雪衣の呪いの言葉云々が言われておりますが、こんなおとぎ話の継母じみた人物像から何を感じ取ればええのやら。
 でも、なんとかのひとつ覚え状態で野球している勇より、雪衣の方がマシに見えるんだよなぁ。勇だってるいを引き止められないのならば大概だろうに。それでもおっさんの罪はこうして漂白されるのか〜。日本スゴーイ!

 金銭感覚もぶっ壊れています。当時、るいがふら〜っとバレない範囲で古本屋バイトをして、大阪で一人暮らしできるくらい稼げたんでしょうか? 『スカーレット』の喜美子周辺ではできていたことを思い出すとわけがわかりませんが。

ホラーですか?

 るいね。子役時代からそうだったけど、今日で本格的に嫌いになりました。だいたいが親にヘイトぶつける時点で根性が腐りきって捻じ曲がっているけど。確かに安子は愚かだけど、だからといってあそこまでヘイトをぶつけなくてもよいだろうに。
 で、そのくせ愚昧なところは母親そっくりなんですよね。交通事故に遭ってあんなことになったら、道を歩くことに注意しませんか? それをのべーっと路上でふらついて事故に遭う。反省して再発防止対策をしなくちゃ! 乱世なら馬に蹴られてあの世行きだぞ!
 脚本が悪いんですけどね。交通事故に遭わなければ話が進まない。あと何回車にぶつかられるのかな? 事故に頼らないと話が進まないってなんなんだ。

あふれる時代錯誤感

 役者の話題性に頼り過ぎでしょう。
 あの大物女優さんが復帰!……と言われても、それが心に響くのって、リアルタイムでテレビに齧り付いていた年代。50前後だと思うんだな。それより上も下も、ピンとこないと思いますよ。今のリアル若い世代は、BLACKPINKあたりに夢中なんじゃないですかね。
「うんすごい! 18に見える!」
 と言われたところで、そういうのは本物の18前後の人にでも聞いてみてくださいって。
 若く見せるためかメイクと照明を飛ばしすぎて、顔面が白く浮いていて怖いんだってば。これでミュージカルを……されても、なんかこう、前衛ホラー映画じみた不気味さがありますよ。

 それ以上に、るいは言動がいただけない。
 額の傷のせいでいきなり出ていくとか。他人の家にあがりこんで団欒に混じって泣き出すとか。
 ホラーかっ!
 ラストはほんまに怖い。見知らぬ人が並んで食卓に座っても平然とテレビを見ている家族も怖いし。そこに紛れ込んで号泣する女って怖い。あの髪型もなんかホラーぽいんですよね。

 るいの額の傷関連も嘘くさい。
 雉真と縁を切るとかなんとか言っているけど、とんだ恩知らずでエキセントリックとしか思えない。安子も唐突に渡米するし、こいつも出ていくし、面接から逃げ出すし。もっと落ち着いて考えろといいたくもなる。
 そして額の傷。感覚が古すぎる。所詮昭和後期と平成を生きた奴が、チャカチャカ浅い妄想をして描いたんだな、と思ってしまう。

 戦争体験者はそれこそケロイドを負ってしまったような人がいる。今よりずっと貧しく厳しい時代は、事故や病気であとが残った人もいる。それでも強く生きた人のことなんか知らんからこういう無神経脚本を書き、通し、朝から流し、是とするんですよ! いいかげん失礼なやっちゃな。

 今はユニークフェイス肯定、ボディポジティブの時代です。そういう価値観がある若い世代からすれば、古臭くてついていけないでしょう。

 何もかもが中途半端。今のアラフィフの思考に巣食う病を観察するのだと思えば、なかなか興味深いとは思う。それくらいしか見所がない。見た目とコイバナばかり考えて、成熟できなかった人間が権力を握り、振りかざすようになった結果だと思いますよ。

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