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『ちむどんどん』第53回 ありがとうと、ごめんなさい

 アッラ・フォンターナで着々と実力を伸ばす暢子ですが、入院中の二ツ橋の代理としてシェフ代行は反発されてしまい、本人も悩んでいます。

本人もこれでいいとは思っていない

 クリフハンガーにしておいて、遅刻は夢オチという出だし。休みの日でもこう悩んでしまうほど、暢子本人も納得できていないのでしょう。
 そういうモヤモヤした悩みがある。賢秀はろくなアドバイスをしないもんだからさ。まずはそこから。
 暢子は基本的に善良なのです。智とも仲直りしたい。賢秀にホイホイ料理を与えない一方(おいにーにー、セロリで遊ぶのやめろ!)、ズッキーニの確認もしていて、えらいんだな。

 そして実はシェフにしたのは二ツ橋の決定だったそうです。房子は親戚、最年少、女と三拍子揃った暢子には二の足を踏んでいたとわかります。それでも鍛えて強くする方針があった。

母親が働くことのできる世の中に

 良子は優子から励まされます。優子は素朴ながら、真正面のよいことをいう。子がいる母が働いてもおかしくない社会にしたいという。
 これも波があるんですよ。というのも、社会がある程度豊かでないと、女性が働いて当然です。猫ちぐらってありますよね。あれはそもそも農作業時に子供を入れるものでした。そうやって子供を放置して働かねばならない。その結果、事故や事件で死亡する例もありました。野口英世なんかその一例ですね。
 それが経済成長すると、母親は働かせないようになる。

 これは冷戦構造下ってのもあるんです。
 第二次世界大戦後、東側=共産圏に対して、西側はこういうモデルを喧伝しました。
「みなさい、ソ連を。外で女まで働いていて気の毒に。豊かな我が国では、マイホームにマイカー。そしてあなたを出迎えてくれる家庭の天使である主婦がいます」
 せっかく第二次大戦で活躍し、女性の権利も進化すると思っていた女性はガッカリですね。戦時中は女もやれると煽って、平時はコレかよ。そういう失望感から始まるフェミニズムがあった。

 でも優子はそういう上からではなく、下からの目線で物事を見ていると思えます。優子はやっぱりいいことをいう。

ありがとう、ごめんなさい

 暢子は詰まって電話をし、優子に自分の長所を訪ねます。足が速いなどなど、違う答えを出したあと、こんなことを言います。
 暢子は、ありがとう、ごめんなさいがちゃんと言える。
 そんな当たり前のことができる……けれども。賢秀の間違った助言せいでそれすらできなくなっていたと。それを思い出し、いよいよ明日は金、解決へ!

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